マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の問題を解説するシリーズ。今回は、管理部門のメンバーのモチベーション(動機付け)を高めるマネジメント法について考察します。

識学理論では結果に到達する前に上司が部下にモチベーションを「与える」という行為は推奨していません。しかし、モチベーションそのものを否定しているわけではなく、むしろ部下自身がモチベーション≒内発的動機を発生させるマネジメントを推奨しています。

それでは、同じ定例業務が発生しがちな管理部門で、どうすれば部下は内発的動機を発生できるしょうか。本記事では、管理部門のメンバーが内発的動機を発生させる上司のマネジメント方法を解説します。

内発的動機発生に必要な要素

内発的動機を発生させるためには主に次の三つの心理状態を作り出すことが重要です。

一つ目は「達成感」です。

達成感を満たすためには簡単すぎず難しすぎない結果設定が必要です。管理部門の管理職は中長期かつ様々な部署が関連する複雑なミッションを担っていますが、メンバーへ結果設定する際は、短期かつ難易度が高すぎないタスクに分解して設定する必要があります。

二つ目は「自己決定感」です。

自己決定感を満たすためには、タスクの期限を迎えるまで上司がやり方に口を出したり手取り足取り指導したりしてはいけません。メンバーが自力で期限内に求められる状態にてタスクを完了できたと実感できる必要があります。

三つめは「有能感」です。

有能感を満たすためには、適切な評価とフィードバックが必要です。適切な評価とは管理部門であっても結果で評価することです。「頑張っている」「愛想がいい」などといった経過やあいまいな評価をしてしまうと、評価に公平感がなくなるばかりか、良い成果を上げたときに正しく有能感を感じることができません。

内発的動機を発生させるマネジメント

上述の通り、ポイントは「タスク分解」「結果管理」「結果評価」であることが分かりました。それでは、これらを具体的なマネジメントに落とし込むための手順を紹介します。

(1)タスク分解

・タスク内容
メンバーが担当できる難易度まで分解できているか

・タスク完了状態
人によって解釈のずれが発生しえない状態を定義できているか

・工数(必要な時間)
「大変」「忙しい」など感覚や感情ではなく、過去の実績などから事実で求める処理時間を定義できているか

・担当者
似たようなタスクが複数の担当者にまたがっていないか
またがっている場合はその理由を確認する。合理的理由がない場合、担当者を統一した方が効率化を図れないか確認する。

(2)結果管理

上司が口を出さずとも、メンバーが迷いなくタスクを実行するために、タスク毎にルール、マニュアル、統一フォーマットが整備されているか確認しましょう。特に、担当者の実勢に任せているようなタスクは属人化が発生しやすいので注意が必要です。

管理方法も営業部などの数値管理できる部門と同様に、例えば週次であれば、「先週の目標」「先週の結果」「目標と結果の過不足」「不足がある場合の理由」「行動変化」「今週の目標」をタスク完了件数などの定量的視点で管理することをお勧めします。

(3)結果評価

結果管理ができたら評価も結果で行いましょう。

分解したタスクの難易度、工数などによりタスクAは〇点、タスクBは〇点などと設定し、評価期間内に獲得すべき点数の基準を設定します。こうすることで、管理部門であっても定量評価を実施することができます。

注意点として、時に管理部門は他部署の施策の影響を受けることがあります。

例えば、マーケティング部の広告がSNSで大きな反響となり、当初予期していなかった大量の受注処理、請求処理が発生したなどの場合です。このような場合は、評価期間中であっても評価基準点を変更させて構いません。全員が評価基準上限に達してしまう状況は一見喜ばしいものですが、その中での相対評価や競争ができず、結果として内発的動機の発生を阻害する要因となりえます。

メンバーが受け身だと感じている場合には

管理部門管理職の方から「うちのメンバーは受け身の姿勢が強くて」といった相談を受けることがあります。たしかに、タスク管理のみでは、メンバーは「やらされている感」ばかり強くなってしまうかもしれませんし、上司側も「うちのメンバーは受け身だ」と感じてしまうのも仕方ありません。しかしながら、言うまでもなくこれは上司側の責任です。

この場合、上述の結果管理や結果評価の仕組みの中に「業務改善」といった項目をタスク管理とは別で設定することをお勧めします。より業務が効率化するためのルール変更やマニュアル変更、ツールやシステムの導入提案、実施を管理項目と評価項目に入れます。

自らが提案した施策が採用され、実行され、実際に業務が改善した経験をすることは、同じく内発的動機の発生要因となります。

活き活きとした職場にしたいなら

「管理部門は協力と助け合いが必要な部門だから、個人目標の設定とか定量評価とかしないほうがいいのでは」、こういったご相談もいただきます。その実、上司側がメンバーに協調や協力を要請している職場こそ、雰囲気がギスギスしていたります。これはそれぞれの責任範囲があいまいであるがゆえに、所謂いい人ほど仕事を押し付けられてしまったり、職場内で波風を立てないことが成果を出すことより優先してしまうことにより、達成感、自己決定感、有能感を感じる機会が少なかったりすることで、内発的動機が発生しないためです。

管理部門であっても、内発的動機を発生させるマネジメントを実行してみてください。結果として、モチベーションを与えるよりずっと、活き活きした職場になるでしょう。

成長意欲よりも成長実感

もしかすると管理部門で働きたいという方に対し「成長意欲に乏しい」「上昇志向がない」「挑戦よりも安定を志向する」といった偏見があるかもしれませんが、本当にそうなのでしょうか。

実際、株式会社識学の非営業職部門も上記に沿ったマネジメントが実行されています。表面上はドライに見えるかもしれませんし、メンバーは日々の目標達成に一定の緊張感も発生しているでしょう。しかし、1年前と比べて大幅な成長を遂げているメンバーばかりです。

重要なのは初めから本人が持ち合わせている成長意欲ではなく、成長実感から発生する内発的動機の後に発生する成長意欲です。そして、この成長意欲はマネジメントによって、仕組みによって発生させることができます。メンバーの成長を、チームの成長を、会社の成長を願うのであれば、内発的動機を発生させるマネジメントを実行してみてください。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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