マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。今回は、40代のビジネスパーソンに向けて、今やるべきことは何かについて考察します。

厚生労働省が実施した「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」資料によると、管理職に就く年齢として、部長(管理職)52.8歳、課長(管理職)、48.7歳、係長45.3歳が平均値となっています。

40代以上になると部下を持つ管理職が増えてきますが、いままで同僚だった人が管理職になる、同僚が自分の上司になる事もあります。そして、現時点では管理職に就いていない方でも数年後に管理職になるための準備が必要になります。

管理職を任される前、もしくは現在管理職を任されている40代の方がやっておかなければ後悔することとは何でしょうか。

参考:厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html

40代は3つの能力を見直そう

管理職として今後活躍するためには、下記3つの能力が必要になります。

・実務能力
・組織適応力
・管理能力

それぞれ解説をしていきます。

実務能力

営業であれば「お客様と商談して契約に結び付ける力」。経理部門であれば「イレギュラーな事にも対応して処理・分析・改善する力」などが実務能力です。

40代ともなれば20代、30代の社員と比べられる機会も増えます。実務において決まったことだけをするのではなく、難易度が高い業務に取り組んでいるか、より高い成果と生産性を求められますので、今できていることよりさらに高い目標を自ら設定して、PDCAを回せているかが重要なポイントになります。

組織適応力

40代になると実務能力については一人で進める力を持っています。上司を頼らなくても業務が出来る状態ですが、それが自らの立ち位置を誤解する要因ともなることがありますので注意しましょう。自分一人でできる仕事は、組織単位での役割の一部でしかありません。ところが、自分だけで仕事をしていると「自分にしかできない仕事」だと誤解してしまい、高飛車になってしまうことも少なくありません。

下記チェックポイントに当てはまっていないかを確認して、行動を改善していくことが大切です。

【チェックポイントと対策】

1.上司の指示に対して納得できないと反発して実行が遅れてしまう

対策:上司の指示を実行した際に弊害が生じる可能性がある場合は、「事実情報を整理して○○の方法はいかがでしょうか?」と相談するようにしましょう。

2.会社のルールに対してルーズになる

対策:40代の社員がルールに対してルーズになると、20代30代の社員も影響されてルーズになる傾向があります。ルールを守るお手本になりましょう。

3.後輩に対して上司かのように指示をしてしまう

対策:指示が出来るのは部下の責任を負う事が出来る上司のみになります。40代の先輩が出来る事は情報の共有です。先輩社員として成功した事例やノウハウを共有することは大事ですが、指示するような言動になっていないか注意しましょう。

4.上司や会社の欠点に対して不満を口に出して周りに影響を与えている

対策:経験豊富になってくると会社や上司の欠点が見えるようになってきます。欠点のない会社や上司は存在しません。自らの責任範囲で何が出来るかを考えて取り組んでいるか。会社にとってマイナスになるような事実があるのであれば、明文化をして改善案とセットで上司に相談をしましょう。

5.感情をコントロールできずに周囲を委縮させている

対策:40代のあなたが、感情をコントロールできずにイライラしている、口調が荒い、舌打ちをしている、人格や容姿を否定するような言動を取ったとしても、周りはなかなか指摘できなくなります。全体の生産性を下げないよう、自らの感情をコントロールして業務する必要があります。

6.できなかったときに言い訳が多く他責になっている

対策:40代になった時には社会人として、すでに15年以上経験している人がほとんどです。そうすると目標が達成できなかったとき、約束したことが出来なかったときに、自分がどれだけ頑張ってきたか、どれだけ大変な思いをしたか、会社外の要因や他部門の影響など、出来なかったときに色々なことを伝えることが癖になっている人がいます。

外部要因があるにせよ、まずは自らの不足を認識して、自分自身が何を改善できるかを伝えられるかが重要です。その上で外部要因としてマイナスになる事案があれば上司に相談する。この順番を間違ってはいけません。

7.自己評価と上司からの評価にズレが生じても改善する気がない

対策:評価は他者がするものです。会社であれば、上司が部下を評価します。40代になれば周りから頼られる機会も増えるので「頼りになります」「助かりました」「すごいですね」「○○さんが上司だったらいいのに」等々上司以外から心地よい声を掛けられることも増えてきます。ここで大事なのは上司以外の声を、これが自分の評価なんだと勘違いしないことです。

上司は部門の全体の目標達成と組織運営上の責任を果たすために、部下を評価する権限を与えられています。責任も権限もない周囲の声を鵜呑みにして勘違いしてしまうと、自らの会社における立ち位置や評価を落としてしまう要因になります。上司からの評価は何かを認識を合わせて業務に取り組んでいきましょう。

管理能力編

部下を持つ40代は、実務能力以外に管理能力が必要になります。

20代、30代と比べて体力面は劣ってきます。プレイヤーとしては限界が生じてくるのです。そのため、自分以外のメンバーの育成とチームの目標をクリアするための術を身に着ける必要があります。

管理能力を分解すると下記になります。すでに管理職の方は自らが出来ているかをチェックしてください。

・担当部門が達成するための戦略を決めて実行している
・部下の目標を明確に設定・評価している(曖昧で認識がズレる目標設定はNG)
・ルールを設定して守れる状態にする
・部下の役割を明確にして行動を迷わせない
・部下にとって足りない知識があれば、自らのノウハウを言語化して教育する
 ※必要に応じて外部も活用し、マニュアルも作成している
・会社や部門の課題を発見して、口頭だけでなく文書で対策案をまとめて会社の経営層に提案できる
・定例で部下の目標に対する結果をチェックし、部下に改善策を考えさせて約束している

上記を実現するためには、部下と友達に近いような関係になってはいけません。

上司部下は一定の距離感が必要になります。気の合う部下とプライベートの話を社内でよくしている、個別に飲みに行く、休日一緒に遊びに行くなどの頻度が増えるほど距離感は近くなり、部下は上司を自分と同じ立場だと誤解してしまい、指示が通りづらくなることもあるでしょう。

そうなると部下は上司からの評価が悪くても危機感を感じなくなり、上司の意思決定の実行度が低下します。

少し寂しくなるかもしれませんが、部下とは一定の距離感を保ち、40代の新たなステージで、自ら仕事が出来た喜びから、チームで目標を成し遂げて部下が成長した喜びに変えていけるようにチャレンジしてください。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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