新年度を迎えるにあたり、人事評価に頭を悩ませる管理職の方も多いのではないでしょうか。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」で、正しい人事評価の方法やポイントについて学びましょう。

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管理職の方にとって、期末は自身の評価が決まるだけでなく部下の一年間を評価する大事な時期です。今回は、人事評価を控えた管理職向けに、人事評価のポイントについて識学講師の観点から解説したいと思います。

皆さんの会社には評価制度があると思います。その評価項目は何によって設定されていますか。

評価制度は、限られた原資(=利益)、ポスト(=役職)を公平平等に分配するシステムではありますが、組織の構成員を向かわせたい方向へ向かわせる戦略です。

つまり、向かわせたい方向を基準に人事評価はなされるべきです。

急激な円安、コロナの第8波到来など、外部環境は常に変化しています。よって、組織の構成員に向かわせたい方向も変化するのが理想です。

評価項目も評価期間ごとに見直される運用が正しいと言えます。

経営陣が向かわせたい方向を変えない、評価項目が見直されていない運用は、外部環境変化に対応しないことを意味し、組織の存続は危うくなってしまうからです。

皆さんの会社で設定している評価項目はいかがでしょうか。外部環境の変化に合わせて、向かわせたい方向への見直しを評価期間ごとに行ってください。

評価項目は何個が正しいのか

皆さんの会社で設定している評価項目は一人あたりいくつありますか?

大体、10個前後の項目を設定している会社が多いでしょう。

組織の構成員が日々行っている業務は、全て評価項目にひもづいていて、かつ評価者と被評価者の双方が、常に評価項目を意識して仕事をすることが正しい状態です。10個前後の設定となると、日々意識できる領域を超えてしまいます。

多くても5つ、理想は3つです。ぜひ、見直しをしてみてください。

そのうえで、全ての評価項目を定量評価できる内容にしましょう。

定量評価とは、〇(=達成)、×(=未達成)の二種の評価にとどまらず、達成度合をパーセンテージで評価できることを指しています。

人事部や総務部、開発部門など非営業部門に設定する評価項目を含め、全て定量的に評価ができる内容で設定してください。

定量的に評価できない項目の代表例は、「コミュニケーション能力」「積極性」「主体性」「成長意欲」などです。このような評価項目は、主観的にしか評価できません。

主観的評価の欠点は、評価者と被評価者との間で評価認識がずれるため、すり合わせが必要になること。多くの会社は、二次評価者、三次評価者を設定してこの主観的評価に客観性を担保する仕組みを取り入れていますが、そこまでしてもこのずれを100%取り除くことはできません。

正しい評価配点とは

皆さんの会社で運用している評価制度では、どのような評価点を付与していますか。

恐らく、高い順に「S→A→B→C→D」、「5→4→3→2→1」などの段階で配点を行っている会社が多いでしょう。

これらは、目標が未達成で組織に貢献できなかったとしても、最低「D」もしくは「1」を獲得できる仕組みです。

この状態は、目標を大きく達成したメンバー(=ハイパフォーマー)とそうでないメンバー(=ローパフォーマー)とに差が付きません。ハイパフォーマーが常にローパフォーマーを補填している状況です。

この環境では、ハイパフォーマーほど辞めやすく、変化してほしいローパフォーマーが変化の必要性を認識できない弊害を生む可能性が大きくなります。

それゆえ、できた振りのみを評価するのではなく、できていない振りも評価する仕組みへと変更することをお勧めします。

「-5→-4→-3→-2→-1→1→2→3→4→5」のようにです。

ここでのポイントは、評価にゼロ点はないということです。「貢献した」or「貢献していない」しかないのが事実です。「ゼロ」だとどちらでもないことになってしまいます。

正しい評価面談とは

適正な数で定量的に評価ができる項目が設定できれば、評価面談自体が不要となります。人の個人的な采配をすべて排除でき、すり合わせをせずとも評価が確定できるからです。

評価する管理職の方にとって、人事評価は責任が重く、時間を要する役目です。日々顔を合わせて仕事をしている部下ですから、「できるだけ高く評価してあげたい。しかし、他のメンバーとの差はつけなければならない」と悩むことも多いでしょう。

だからこそ、そもそもの人事評価の原点に返り、日々意識できる適正な評価項目数を全て定量評価できる内容で設定し、できた振りだけでなくできなかった振りも評価する仕組み、運用へと変えてほしいと思います。

【この記事を書いた人】
池田泰司/中央大学国際経済学部を卒業後、商社でキャリアをスタートし、繊維部門の営業として25年従事。 その後、人事系コンサルティング会社を経て、識学と出会う。手探りのマネジメントをしていた経験から、原理原則を学べば課題を解決できると感じ、識学に入社。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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