社会には守るべきルールが存在します。それは会社の内部でも変わりません。しかし、会社では往々にしてルールを守れない社員がいます。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」の記事から、そのような社員にルールを守らせるにはどうすればいいのか、を学びましょう。
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部下にルールを守らせるにはどうすればよいか
皆さんの会社で働いているメンバーは、「ルール」という言葉を聞いて、どのような考えを抱きそうですか。「窮屈な感じ」や「縛られるイメージ」などではないでしょうか。
識学講師として組織の生産性向上を支援してきた経験上、大抵のビジネスパーソンはルールに対してネガティブなイメージを抱いています。
そして、ルールを守らない社員はほぼどの職場にも存在し、ルールを守らせることに苦労している経営者は少なくありません。
本記事では、ルールの重要性と部下にルールを守らせる方法について解説をしたいと思います。
ルールはなぜ必要か
就業規則や業務マニュアルなど、会社には多くのルールが存在しているはずです。では、なぜルールが必要なのでしょうか。この問いに対して明確な答えがあれば、ルールを守れない社員に対しての指導も変わってくるはずです。
結論を述べますと、ルールは「認識を合わせるため」に必要なのです。
人の価値観や思考はそれぞれ異なります。自分と100%同じ考えの持ち主はこの世に存在しません。それゆえ、2人以上が集まれば、そこには必ず認識のずれが発生します。ルールによって、その認識のずれを最小化させるのです。
1:ルールは正しく設定しなければならない
部下にルールを守らせるためには、そもそも会社のルールが「正しく」設定されていなければなりません。
ルールが正しい状態かどうかを考えるため、まずは、正しく設定できていないルールをご紹介します。
例えば、「デスクは整理整頓しましょう」というもの。
一見何の問題もなさそうに見えますが、正しい設定は、「退勤時にはデスクの上に何も物が置かれていないこと」です。両者の違いは分かりますか。
違いは、「期限」と「状態」にあります。前者では、整理整頓できているかどうかは、人によって解釈が分かれることがあり得ますよね。部下はきれいにしたつもりでも、上司からは整理整頓が十分ではないと見えたとき、それによって注意された部下は、どうしたらよいか困惑するでしょう。また、きれいにしようとしていた直前に注意をされたら、部下はやるせない気持ちになるはずです。
こうした事態を防ぐために、期限と状態を明確にすることによって、誰が見てもOKかNGかの解釈に差が発生しない表現であることが、正しいルール設定となります。
ルールが正しく設定できていないと、そもそもルール違反しているのか、ルール通りなのかのすり合わせから始めなければなりません。このようなすり合わせをする時間は全く無駄です。
2:ルールは性質によって対処方法が異なる
識学社では、ルールを性質によって二つに大別しています。一つは就業規則などのルール。もう一つは「新規開拓数」や「利益率改善」など、週次会議や評価面談などで話し合われているテーマです。
この違いは何かというと、そのルールを守る上で能力が必要かどうか、守れない理由が存在するかどうかです。
就業規則は誰もが守れるはずですが、新規開拓数は、社員の能力によって達成できないこともあるでしょう。
それゆえ、ルールは性質によって対処法を変える必要があります。能力によって守れない理由が存在するルールであれば、守ることができない理由を突き止めないと正しい対処はできません。
一方、守れない理由が存在しない性質のルールであれば、淡々とルール違反を指摘し続ける対処しかないわけです。
3:誰もが守れるルールから守らせよう
どちらのルールも大切ではありますが、まずは「就業規則に書かれているようなルール」から社員に守らせるようにしましょう。
能力不要ルールを100%遵守できている会社には規律があります。規律があるからこそ経営におけるPDCAが回るのです。社長が示す方向に社員は向かってくれます。社長が示した方向が間違っていた場合、速やかな方向転換が可能となります。
規律が醸成できていない会社では、社長が示した方向に向かわない社員が出てしまうため、期待する結果が出なかったとき、方向性を見誤ったのか、その方向性に向かえなかったからなのか、原因の把握ができず、PDCAが回りません。
会社を存続、発展させることは、組織の生産性向上を追求していくことと同義です。そのための第一歩が、正しいルールの設定と言えるでしょう。すり合わせする時間の最小化、PDCAが回る組織運営において、ルールは必須です。
ルールを正しく設定し、ルール違反に対して正しい対処法を実践してください。誤った対処法が、ルールを守れない部下を量産します。
【この記事を書いた人】
池田泰司/中央大学国際経済学部を卒業後、商社でキャリアをスタートし、繊維部門の営業として25年従事。 その後、人事系コンサルティング会社を経て、識学と出会う。手探りのマネジメントをしていた経験から、原理原則を学べば課題を解決できると感じ、識学に入社。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/