いよいよ本格的に夏シーズンに入ってきました。こんな時、やはり気になるのは夏バテではないでしょうか? うなぎを食べたり、行楽地で休養したり、人それぞれの夏バテ対策があるのではないかと思いますが、漢方医学ではどのように夏バテを捉え、予防するのでしょうか? 今回も漢方の専門の先生にお伺いしてみましょう。
そもそも、夏バテが起きるのは、なぜでしょうか?
「大きく2つに分けると夏の暑い環境そのものによる場合と、冷房や冷たいものの食べ過ぎで体調を崩した場合があげられるでしょう」
慶應義塾大学教授の渡辺先生が教えてくれました。
「夏の暑い環境の中で長時間過ごすことで、汗をたくさんかいたり、逆に高い湿度の中で汗が十分に蒸発せず熱が身体にこもったり、熱帯夜で眠れなかったりして体調を崩すのです。
一方で、冷房の効いた部屋と暑い屋外を行ったり来たりすることで自律神経のバランスを崩して体温調節がうまくいかなかったり、冷たいものを食べ過ぎたりして消化機能が低下し体調を崩すこともあるでしょう」
なるほど。これまでもお話をお聞きした際に、漢方医学では同じ症状でもタイプに分けて考えるとのお話でした。夏バテはどのようなタイプに分かれますか?
「漢方医学では夏バテに限らず、症状の組み合わせからいくつかのタイプに分けて対応を考えています。夏バテによくあるものとしては気虚証(ききょしょう)、亡津液証(ぼうしんえきしょう)、水毒証(すいどくしょう)があげられます。
気虚証(ききょしょう)では、食欲がない、動きたくない、疲れやすい、すぐに横になりたいなどの症状がでます。
亡津液証(ぼうしんえきしょう)では、体がほてって喉が渇く、鼻の中が乾燥する、皮膚が乾燥する、ドライアイなどがみられます。
水毒証(すいどくしょう)では、めまいがある、立ちくらみがする、ふらつく、身体がむくんで重い、車酔いしやすいなどがみられます」
そうなんですね。今回はそのうち、疲れやすいタイプの気虚証(ききょしょう)にフォーカスをあててお伺いします。このタイプの夏バテによい漢方薬って何でしょうか?
「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、四君子湯(しくんしとう)、六君子湯(りっくんしとう)、帰脾湯(きひとう)、平胃散(へいいさん)などがあげられます。私が頻用するのは補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です」
そういえば、先日ドラッグストアで漢方薬のコーナーに足を向けたところ、補中益気湯を見つけましたよ。