江戸後期の日本に二度にわたり来日し、日本に近代医学を伝える一方で、日本の自然や生活文化に関わる膨大な資料を収集してヨーロッパに持ち帰ったシーボルトのコレクションが、千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で展示されています。
ドイツ人医師・博物学者のフィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(1796-1866)が日本で果たした役割はよく知られていますが、ヨーロッパで日本をテーマとした博物館展示を熱心に行ったことはあまり知られていません。
本展では、国立歴史民俗博物館の6年間にわたるシーボルト関係資料の総合的な調査で得られた成果をもとに、シーボルトがヨーロッパで行った日本展示を紹介します。
本展の見どころを、国立歴史民俗博物館研究部情報資料研究係の日高薫教授にうかがいました。
「シーボルトは一度目の来日後、ライデン、アムステルダム、ヴュルツブルク、ミュンヘンで日本展示を行っています。これはのちの万国博覧会における日本紹介やジャポニスムによる日本趣味に先駆けて行われたヨーロッパで最初の試みといえます。
本展は、現在ミュンヘン五大陸博物館に収蔵されているシーボルトの二度目の来日コレクションをまとまった形でご紹介する初めての展覧会です。二度目のコレクションは、自分が構想する日本博物館の完成度を高めるために、一度目のコレクションを補強・充実する目的で収集された点で極めて重要な意味をもっています。
またシーボルトは、正しい日本の姿を伝えるには実物の民族学的資料を見てもらうことと信じていました。本展は、1862-63年にアムステルダムで行われた展示風景を描いた雑誌のイラストに沿って再現するほか、1866年にミュンヘンで開催された最後の日本展示を息子のアレクサンダーが記した目録に沿って再現しています。
シーボルトが伝えたかった日本像とはどんなものだったのか、会場でご高覧ください」
本展は今後、東京都江戸東京博物館など全国4会場に巡回されます。お楽しみに。
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【よみがえれ!シーボルトの日本博物館】
■会期/2016年7月12日(火)~9月4日(日)
■会場/国立歴史民俗博物館 企画展示室A-B
■住所/千葉県佐倉市城内町117
■電話番号/03・5777・8600(ハローダイヤル)
■料金/一般830(560)円 大高生450(250)円 ( )内は20名以上の団体料金
※中学生以下無料、土曜日は高校生無料、総合展示も併せて観覧可
■開館時間/9時30分から17時まで(入館は16時30分まで)
※開館日・開館時間は変更される場合があります
■休館日/月曜日(ただし休日の場合は開館し翌日休館、8月15日は開館)
■アクセス/JR総武線佐倉駅北口1番バス乗場から田町車庫行きで「国立博物館入口」または「国立歴史民俗博物館」下車、京成佐倉駅南口1番バス乗場から田町車庫行きで「国立博物館入口」または「国立歴史民俗博物館」下車
取材・文/池田充枝
1989年「サライ」