空前の猫ブームといわれる昨今。でも、猫の生活や行動パターンについては、意外と知られていないことが多いようです。人間や犬の行動に当てはめて考えて、まったく違う解釈をしてしまっていることも少なくありません。昔から猫を飼っているから猫の性格や習性を熟知していると思っていても、じつは勘違いしていたということが結構あるようです。
そこで、動物行動学の専門医・入交眞巳先生(日本獣医師生命科学大学)にお話を伺いながら、猫との暮らしで目の当たりにする行動や習性について、専門的な研究に基づいた猫の真相に迫っていきます。今回は猫が喉(のど)をならす行動についてお伝えします。
猫がゴロゴロと喉を鳴らしていると、気持ちよさそうだな、幸せそうだな、満足なんだな、と思いますよね。
猫は、咽頭筋を早く収縮させることであのゴロゴロ音を出しています。
どんなタイミングでゴロゴロいっているかというと、例えば、おっぱいを飲んでいる、あるいは成長してからでもおっぱいを飲んでいた頃を思い出しているかのように手をふみふみ、もみもみしたり、口をちゅぱちゅぱさせたりして、おっぱいを飲むような仕草をしている時。
ご主人の膝の上で丸くなっている時。大好きな飼い主さんになでなでしてもらっている時にも、猫はゴロゴロと喉を鳴らします。
愛猫が膝にのってきて、ゴロゴロと喉を鳴らし始めると、作業中であっても到底抗うことなんてできません。つい、愛猫をなでなでしながら、自分も気持ちよくリラックスしてしまうという人も多いのではないでしょうか。
猫のゴロゴロは、幸せのサイン。それは疑いもないことのように思えます。
猫のゴロゴロは、専門用語で「ソーシャルソリシティテーション」といいます。「社交上の、あるいは社会的な勧誘、懇願」を意味します。音を出すことによって、相手の注意を惹くための行動といわれています。
上記のように、飼い主さんと一緒にいてゴロゴロと喉を鳴らすのは、「ボクは幸せだよ、満ち足りているよ」と、飼い主さんに伝えたくて音を出すのですね。
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