文/川口陽海
・中殿筋、小殿筋、ハムストリング、腓骨筋などのトリガーポイントが、腰から脚にかけて痛みやしびれ、間欠性跛行の原因となる
・簡単なストレッチで改善できる
ちょっと歩くと腰やお尻から脚にかけて痛みやしびれが出て歩けなくなる…。
でも少し休むとまた歩けるようになる…。けれどまた痛みやしびれが出て…。
このような間欠性跛行(かんけつせいはこう)の症状は本当に辛いですよね。
病院では脊柱菅狭窄症、坐骨神経痛などが原因と言われ、手術をすすめられたり、将来車椅子になると言われたりして、暗澹たる気持ちになってしまうかもしれません。
しかし、少し視点を変えると別の原因や解決法が見えてきます。
今回は、1日5分でも間欠性跛行を改善できるストレッチをご紹介します。
間欠性跛行の症状と原因
間欠性跛行とは、しばらく歩くと足に痛みやしびれを生じ、少し休むとまた歩けるようになる症状のことをいいます。 具体的にはバス停の1区間を歩くのに何度も休む、団体旅行でみんなと一緒に歩けなくなった、立って家事をするとふくらはぎが痛くなるなどがあてはまります。
間欠性跛行/医学小知識 – 一般財団法人太田綜合病院HPより
間欠性跛行の原因には様々なものがあります。
病院では脊柱菅狭窄症や椎間板ヘルニア、坐骨神経痛などが原因と診断されることが多いようですが、実は筋肉が原因でおこるケースも少なくありません。
筋肉の中に発痛点=トリガーポイントが生じると、その筋肉に負担がかかった時などに強い痛みやしびれがおこるのです。
間欠性跛行の場合、
■中殿筋
■小殿筋
■ハムストリング
■腓骨筋
などの歩行に関わる筋肉にトリガーポイントができて、強い痛みやしびれがおこり、歩行障害となるケースがたくさんあります。
トリガーポイントとは、筋肉が固く緊張してしまい、血行不良となった状態です。
したがってほぐしたりストレッチしたりすることで、トリガーポイントと痛みやしびれなどの症状を改善することができます。
※ただし閉塞性動脈硬化症が原因の場合は、ストレッチは適応になりませんのでご注意ください。
トリガーポイントについては本連載でもおなじみですが、より詳しくお知りになりたい方は以下のページもご覧ください。
間欠性跛行の原因となる筋肉とトリガーポイント
間欠性跛行の原因となる筋肉とトリガーポイントには、次のようなものがあります。
【中殿筋とトリガーポイント】
中殿筋は、殿部(骨盤)にある筋肉です。上の画像の一番右が中殿筋の解剖透視図です。
図の✖印がトリガーポイントの好発部位で、赤い部分、腰や骨盤周り、ベルトのラインあたり、お尻のほっぺたなどに痛みやしびれが出ます。
【小殿筋とトリガーポイント】
小殿筋は中殿筋の下に重なっていて、股関節の一番奥の筋肉です。
上の画像の一番右と右から3番目が小殿筋の解剖透視図です。
図の✖印がトリガーポイントの好発部位で、赤い部分、お尻から脚の後ろ側や外側にかけて痛みやしびれが出ます。
【ハムストリングとトリガーポイント】
ハムストリングは太ももの後ろ側にある筋肉です。
上の画像の真ん中がハムストリングの解剖透視図です。
図の✖印がトリガーポイントの好発部位で、赤い部分、坐骨のあたりから太腿の後ろに痛みやしびれを起こします。
【腓骨筋とトリガーポイント】
腓骨筋は、すねの外側にある筋状の細い筋肉です。
上の画像の真ん中が腓骨筋の解剖透視図です。
図の✖印がトリガーポイントの好発部位で、赤い部分、すねの外側や足首周りなどに痛みやしびれをおこします。
いかがでしょう?あなたの症状はこれらの図に似ていませんか?
もしこれらの図の赤い部位に痛みやしびれがおこって歩けなくなるようでしたら、あなたの間欠性跛行は筋肉=トリガーポイントが原因の可能性があります。
1日5分で間欠性跛行を改善できる4つのストレッチ
さぁでは実際にストレッチをやってみましょう!
ストレッチ(1) 殿筋のストレッチ
仰向けで両膝を立て、片方の足首を反対の膝に乗せます。
そのまま腿の裏を両手で抱えて胸に引き寄せます。
適度にお尻の筋肉が伸びたところで止め、30秒ほどキープします。
終わったら脚をゆっくり戻し、反対の足も同じようにおこないます。
片側2~3回ずつおこないましょう。
腿の裏を持つのが楽ではない場合は、すねを持つようにしてみましょう。
※ご注意)
痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化する時はやめてください。
ストレッチ(2) 小殿筋のストレッチ
足の裏がしっかりつく高さのイスに、やや浅めに腰かけます。
片方の足首を、反対の膝に乗せます。
組んだ脚の膝を手で軽く押さえ、上半身を反対方向にひねります。
上半身をひねったまま、斜め方向に倒していきます。
股関節から倒すようにしてください。
股関節の中が開くような感覚、またそこから腰の横から背中にかけて伸びるような感覚が出たらそこで止め、30秒~1分ほど伸ばします。
終わったら上半身をゆっくり戻し、反対の足も同じようにおこないます。
片側2~3回ずつおこなってみましょう。
※ご注意)
痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化する時はやめてください。
ストレッチ(3) ハムストリングのストレッチ
このストレッチでは、バスタオルなどを使用します。
仰向けになり、バスタオルを片脚のつま先あたりにかけます。
そこからバスタオルを引っ張るようにして脚を上に伸ばしていきます。
適度に腿裏からアキレス腱が伸びたところで止め、楽に深呼吸しながら力を抜き、30秒~1分ほど伸ばします。
終わったら脚をゆっくり戻し、反対の足も同じようにおこないます。
これを片側2~3回ずつおこなってみましょう。
※ご注意)
痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化する時はやめてください。
また、膝の裏を両手で持つ方法や、座ってタオルで伸ばす方法などもありますので、次の画像を参考におこなってみましょう。
ストレッチ(4) 腓骨筋のストレッチ
このストレッチでは、バスタオルなどを使用します。
仰向けになり、バスタオルを片足(痛みのある側)のつま先あたりにかけます。
そこから膝を伸ばすようにしながら、内側に向けて傾けていきます。
内側とは、画像のように右脚をストレッチする場合は左脚方向に傾けるということです。
この時に、内側のタオルをひっぱるようにして、足首を内側に少しひねるようにすると、より腓骨筋がストレッチされます。
ふくらはぎ、すねの外側が伸びる感覚があればOKです。
適度にすねの外側の筋肉が伸びたところで止め、楽に深呼吸しながら力を抜き、30秒~1分ほど伸ばします。
終わったら脚をゆっくり戻し、反対の足も同じようにおこないます。
これを片側2~3回ずつおこなってみましょう。
※ご注意)
痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化する時はやめてください。
以下の記事でも様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。
ぜひお読みください。
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文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616
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