和食文化に欠かせない箸。そのシェア8割を誇る福井の若狭小浜で作られるのは、伝統工芸「若狭塗」の箸だ。
鮑貝をふんだんに使用した本品は、大正時代初期から若狭塗箸を作り続ける「イシダ」の代表作。ブルーがかった光が煌めく様から、かつては宝石にたとえられた鮑貝。通常は一緒に使われる卵殻を混ぜず、純粋な鮑貝のみを使うことで、その美しさを最大限に引き出した。一直線に並んだデザインは立山連峰をイメージしている。
イシダでは、職人の技に基づいて独自開発した最新の機械設備と、職人の手作業を組み合わせて製作を行なう。
「鮑貝を貼り付けて塗料を塗り重ねた後、サンドペーパーで研ぎ出す工程が特に難しいのです。研ぎ足りないとデコボコし、貝の模様がきれいに浮き出ないので、熟練の技が必要になります」と、担当の石田久喜氏。
本体は天然木で軽く、手で持ったときにフィットするよう、少し太めのつくり。箸先には滑り止め加工も施してあり、使い心地も一級だ。
「ただ食事をするための道具ではなく、食卓を楽しくする名脇役として愛でていただきたいと思います」(石田氏)
“あなたと私の橋(箸)渡し”とも言い、箸は縁起のよいもの。自分用はもちろん、贈り物にもふさわしい秀作である
【今日の逸品】
若狭塗箸「貝連峰」箸置き揃え
『サライ』×イシダ
10,450円(消費税込み)