「下駄の美しい履き物文化をもっと浸透させたい」と話すのは、「水鳥工業」の企画営業・島田文美氏。現代のライフスタイルに合う下駄を打ち出してきたが、“外履きの下駄を室内で使っているので内履きを作ってほしい”という声に応え、下駄づくりの技術を活かしたルームサンダルを作り始めた。
「ソールには下駄と同じ地元の静岡県産ひのきを使用しています。履き心地のよさと優しい木のぬくもりを感じてもらいたいですね」(島田氏)
こだわりの履きやすさは、ソールに伸縮素材のEVA(合成樹脂)を貼り、クッション性を持たせたことにある。さらに、屈曲性のあるソールにするため、ひのきの板2枚をEVAで繋ぎ、足の動きに合わせしなやかに曲がるよう工夫した。衝撃も緩和し、足音も静かだ。デザインは空間に溶け込むようシンプルに仕上げ、上質な合成皮革を使ったアッパーはなだらかな筒状で足を包み込む。デザインと履き心地のよさが好評を得て、旅館やホテルからのオーダーも多いという。
「アッパーとソールを繋ぐ『吊り込み』という作業は、履き心地のよさを左右する熟練職人のなせる業です。アッパーに皺がよらないようにぴんと張りつつ、足を圧迫しない、程よいフィット感を生み出すのです」と島田氏は語る。
【今日の逸品】
静岡産ひのきのルームサンダルツーピース
水鳥工業
10,780円(消費税込み)