自社製品の開発で会社の危機を打破
昭和44年創業の「豊岡クラフト」の始まりは、大手時計メーカーの委託による天然木を活かした置時計や掛け時計の木枠づくりだった。時代とともに海外委託が主流となる中、その危機を脱するため、自社製品の開発へ大きく踏み出したのが昭和51年のことだった。「時計の木枠づくりでは、質のよい天然木を使っていても、パーツが大きいため、余った部分は廃棄していました。しかし、『よい木材は余すところなく使いたい』という想いがあり、パーツを細かくして、組み立てて作れるものに注目したのです。当初は電話台や書見台からスタートし、今では約150品の自社製品を扱っています」と、3代目社長の山﨑徹氏。
チェストなどの家具製作においても、細かなパーツを組み立てる方式を採用する。製品の構造やデザインの考案は、会長の山﨑肇氏が中心となり行なっているが、職人ならではの目線を活かしたものづくりは、無駄のない構造と使いやすさで使い手の心をつかむ。
天然木の個性を引き出す意匠
個性のある天然木をひとつずつ組み立てるのは木工職人の確かな技術だ。パーツは0.1mm単位でカット。木工用接着剤を使う組み立ては、パーツを持つ位置や押さえる力加減に至るまで、すべて洗練された職人の勘によるもの。「曲部などの磨きは手作業で隈くまなくやすりをかけるので、手触りや艶のある木地となるのです」(山﨑徹氏)
【今日の逸品】
整理整頓チェスト
豊岡クラフト
48,400円(消費税込み)