取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。

厳しかった母親に家事をみっちり仕込まれた

今回お話を伺った、穂香さん(仮名・35歳)は、26歳の時に紹介で知り合った10歳上の男性と結婚、現在は都内のマンションで子ども2人との4人暮らしをしています。穂香さんが現在暮らすマンションは義両親の持ち物。家賃はかかっていないと言いますが、その恩があるために義母の世話をしなければいけないところに苦痛を感じているそう。

「付き合った時から夫はそのマンションの一室に暮らしていて、夫と結婚を意識した時から将来はこのマンションで、義家族の近くで暮らすことになるんだろうなって覚悟はしていました。でも、結婚当初は想像以上に付き合いは淡泊で、とても居心地が良かったんです。しかし、義父が亡くなってから、居心地は180度変わってしまいました」

穂香さんは栃木県出身で、両親と6歳上の兄のいる4人家族。親族も車で数十分の距離に住んでいて、何かと親族で集まるような仲の良い家族、親戚関係だったと言います。

「両親共に3人兄弟で、従妹は10人以上います。従妹の中では私が一番年下で、小さい頃からみんなにかわいがってもらいました。両親は7歳の年の差があって、年上の父親も母親も末っ子ということもあって、私は従妹とも年が離れていたので。祖父母もすごくかわいがってくれたんですが、母親だけはすごく厳しくて、甘えん坊で何もできない子にはギリギリならずにすみました。小さい頃から勉強というよりも料理の手伝いや、掃除などを口うるさく言われていたこともあって、家事は得意なんですよ」

穂香さんは都内の大学進学に伴い上京。しかし祖父母からの資金援助もあり、事あるごとに実家に帰省していたそう。それほどに実家は居心地が良かったと振り返ります。

「大学進学は、周りが東京に出るって言っていたから軽い気持ちで入れるところに入ったという感じでした。最初は東京に夢見てたんですけど、寂しくて……。在来線でもギリギリ帰れる距離だったので、月に1~2度のペースで帰っていました。地元が恋しくて(苦笑)。

1人暮らしをして、実家で暮らしているよりも両親のことが好きになりました。それに今まで家事を手伝っているつもりだったけどだいぶ助けられていたことも実感できて、親のありがたみを知ることができましたね」

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