商業と文化の街、日本橋に本店を構える刃物の木屋。創業は寛政4年(1792)、江戸から令和へ220年余にわたり暖簾をつなぎ、現当主で9代目を数える。今も経験豊かな職人を多く擁し、包丁や鋏などの打刃物をメインに暮らしに根づいた道具を製造。その品質は高く評価されている。
今回紹介するのは木屋が誇る人気商品、純銅製のおろし金。江戸時代の百科事典『和漢三才図会』には、すでに銅のおろし金についての記述があり、古くから親しまれていたのがわかる。
銅は磁器や陶器より丈夫で素材も加工しやすく、おろし金に最適。アルミやプラスチックと比べても、耐久性は格段に優れている。
作る工程はまず銅板に穴を穿ち、錫でメッキ加工を施す。次からが職人技の見せ所である目立て作業だ。タガネを構え、調子をととのえながら横一線に一気に目を立てていく。さらに上下を返して同じ作業を続ける。間隔や向きをあえてそろえず乱立させるのは、大根の繊維を潰さずに鋭い刃で断ち切るためである。擦った大根はふわりと口当たりよく、実も程よく残る極上の大根おろしとなる。
プロの料理人や料理研究家も愛用の品、ぜひお試しを!
【今日の逸品】
箱型純銅本目立ておろし金
木屋
10,450円(消費税8%込み)