恋が老化の「特効薬」! 感情の老化の対策方法を専門医が伝授大切なのは“感情年齢”を若返らせること

いつまでも若くいたい……そんな目的から、健康管理のために運動したり、認知症予防のために脳トレしたりする人がいます。

「運動も脳トレもいいのですが、大切なのは“感情年齢”を若返らせることです」というのは精神科医の和田秀樹先生。
感情も肉体と同様に年老いてきて、アンチエイジングを行わなければ、頑固になり、気分転換ができにくくなり、やる気も低下。人生が全体的につまらなくなるというのです。

「感情の老化は、40代以降から始まっています。まず、ワクワクしにくくなります。そして、いつも同じ店に行き、同じ仲間とつるみ、同じような本を読むようになる。つまり、前例踏襲型の行動や考え方をするようになってしまうのです」(和田秀樹先生・「」内以下同)

早速、あなたの感情が老いているかどうか、チェックしてみましょう!

【感情老化度テスト10】

□好奇心が刺激される機会が少ない
□失敗すると、昔よりも引きずる
□決まった店で買い物をしがちだ
□肉をあまり食べない
□よく知っている仲間と会話することが多い
□すぐにイラっとする
□この年で何かを始めたって遅い、とあきらめがち
□最近、何かに感動したという記憶がない
□性欲が減退していると感じる
□昔に比べて斬新なアイディアが思いつかなくなった

10個のチェックリストのうち、3個以上当てはまったら感情老化が進行中。以下の解説を読み、できるところから始めて、感情のアンチエイジングを図ろう。より詳細な結果は、和田先生の新刊『「感情の老化」を防ぐ本』(朝日新聞出版)でチェック。

どうして、感情は老化するのでしょうか。

「感情年齢に密接に関係しているのが、脳の前方の前頭葉という部位です。ここが加齢で縮んでくると、『面倒くさい』『どうでもいい』という気持ちになりがちです。また、柔軟性が失われるので、自分の考えに固執するようになります。つまり、なんでも億劫になり、頑固になるのです」

感情老化には、男性ホルモンの「テストステロン」の減少も関係しています。男性ホルモンが増えると、好奇心や意欲が旺盛になり、人との付き合いも積極的に行うようになります。モテる人はテストステロンの量が多いことも知られています。

「テストステロンは、男女ともに量が少ないほど、記憶力と判断力が低下し、他人に興味を持てなくなります。余談ですが、あなたの身の回りで、閉経後に活発になった女性はいませんか? 性格が変わったかのように、仲間とどこかに行ったり、運動を始めたり……あれは、テストステロンの量が増えていることも一つの原因なのです。最新の調査では、女性は閉経後に女性ホルモンが減り、逆に男性ホルモンのほうが増えることがわかりました。一方、男性は加齢とともに引きこもりがちになると思いませんか? あれは、テストステロンが減少するからなのです。男性の方が年齢とともに出不精になったり、人嫌いになったりするケースが多いのは、ホルモンのせいでもあるのです」

つまり、男性は年齢ともに前頭葉の萎縮とテストステロン減少のダブルパンチを受けるのです。だから、放っておくと、感情が老化の一途をたどる可能性があるのです。

「あとは、感情の老化にかかわっているのは、神経伝達物質の“セロトニン”です。これの減少にも注意したほうがいいでしょう。セロトニンは別名幸せホルモンと呼ばれ、これが不足すると“うつ”になりやすくなります」

老後うつもまた深刻な問題。人と会わず引きこもりがちになると、認知症になる可能性もあります。
そうならないための、感情老化を予防するためのコツを伺いました。

「人は年をとっても、知力は保つことができるものです。特に大切なのは、“脳にラクをさせない”ことです。新しい店に行く、知らない道を歩く、新しいサークルに飛び込んでみるなど、すぐにできることは身の回りに多くあります。あとは料理をすることもいいですね」

周囲の反応を気にせず、自分が楽しめることをやってみる

しかし、脳にラクをさせない行動は、言うは易く行うは難し。いつもと違う行動をするときに、1歩を踏み出すコツを伺った。

「周囲の反応を気にせず、自分が楽しめることをやってみることでしょう。あとは、失敗を恐れないことです」

新しいことを始めること以外に、脳が刺激を受けることとは、予測不可能なこと。

「例えば、少額投資を始めたり、宝くじを買ってみるなどもおすすめです。あとは、恋もいいですね。あれこそ予測不可能なものです。本当の恋愛が難しければ、歌手や俳優を好きになってみるのもいいですよ」

他におすすめしたいのは、読書のジャンルを変えること。

「慣れ親しんだ作家の作品や、それに似ている本を読んでばかりいては、感情老化の予防にはなりません。あえて、これまで手に取らなかったような本を意識的に読むと刺激を受けます。例えば、歴史小説の池波正太郎が好きという人は、現代作家の林真理子作品を読む。ビジネス書ばかり読んでいる人は、宮沢賢治の童話作品を読んでみるのです。そこから得た新たな刺激により、脳が刺激され、感情が若返っていくのです」

肉を食べることが感情の老化予防に効果あり

感情の老化予防に効果的な食生活は肉食。

「肉のアミノ酸とコレステロールは男性ホルモンを作る原材料になります。40代以降は、バランスがいい食生活の基本の上で、肉を食べるようにしましょう。コレステロールは脳に幸せホルモンのセロトニンを運ぶ働きがあるとされている。また、セロトニンの原料となるトリプトファンも肉には多く含まれています」

あとは、日光を浴びたり、簡単な運動をしたり、腹式呼吸をすることも感情老化の予防には効果的です。

「最後にお伝えしたいのは、性をタブー視しないことです。感情老化の進行を食い止める有効策は、性を楽しむことです。性行為は、テストステロンの分泌を高める役割を果たすだけでなく、適度な運動にもなり、高揚感も得られます。恋愛を活用して、人生を面白くするという視点を持つことも大切ですよ」

人間の機能は使わなければ低下してしまいます。それは、感情も同じこと。積極的に脳・心・体を動かすことで、これからの人生はますます楽しくなっていくのです。

和田秀樹先生
【プロフィール】
和田秀樹先生
1960年大阪市生まれ。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修。アメリカ、カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、国際医療福祉大学大学院教授、一橋大学経済学部非常勤講師ほか歴任。「和田秀樹こころと体のクリニック」院長を務める。

「感情の老化」を防ぐ本

和田秀樹先生の新刊
『「感情の老化」を防ぐ本』
和田秀樹著 朝日新聞出版
1000円

取材・文/前川亜紀

 

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