新潟県と長野県に広がる上信越高原国立公園。公園内の標高約1100m、妙高登山の東側の入り口に位置するのが新潟県妙高市の燕温泉です。
燕温泉は平安初期に弘法大師が発見したとされる湯で、古くから湯治場として利用されてきました。冬は豪雪で温泉が利用できなくなるほどの秘湯です。温泉の名は、周辺にイワツバメが多いことから名付けられたといいます。
温泉街から10~15分ほど歩くと、2か所の野天風呂があります。大田切渓谷の渓谷沿いにある「河原の湯」は上杉謙信の隠し湯と、伝わります。もうひとつが「黄金の湯」(写真)です。岩風呂のまわりは秋には見事な紅葉が広がり、まさに黄金の湯を実感できます。
野趣溢れる温泉は、さらりとした白濁の湯。泉質は含硫黄-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫黄塩・塩化物泉。硫黄の香りと白い湯の花が温泉成分の豊富さを物語ります。神経痛や婦人病などに効能があり、さらに、硫黄泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉という女性には嬉しい「トリプル美人の湯」!
両野天風呂とも営業は6月上旬~11月上旬で、日没以降は利用できませんので、ご注意ください。
写真提供/燕温泉
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。