文・写真/佐竹敦
五重塔、三重塔といえば、窓や扉が付いているとしても、その窓や扉は固く閉ざされていて中を伺い知ることはできません。しかし実は富山県に、内部構造が筒抜けになって見ることができるという、世にも珍しい摩訶不思議な三重塔があるのです。
それがこの、日石寺(にっせきじ)の三重塔です。
ご覧のとおり、仏塔の中心に建てられている心柱もはっきりと見ることができます。
この日石寺の三重塔は、資金難で完成できなかったとも、製作途中で未完のままともいわれていますが、いずれにしても本来あってしかるべきの壁がまったくないため、スケルトン状態となっていて、内部構造が丸見えの状態となっています。
全国広しといえども、内部構造が丸見えとなっている仏塔は日本で唯一、この日石寺の三重塔のみです。
さらに背後の山に回り込むことで、塔の二層目の高さから見ることもできます。このアングルはとても稀少な角度で、この位置からだと中の様子がさらにはっきりと見えます。
ちなみにこの塔はお寺の境内の外れにあり、参拝するためには長い長い石段を登って行く必要があるためか、日石寺を訪ねた方でも残念ながら知らずに立ち寄らずに帰ってしまう方も少なくないようです。
日本全国でも、このように仏塔の骨組みが丸見えになってる塔はこの日石寺の三重塔ただ一つです。機会があれば、一度訪ねてみてはいかがでしょうか。
【日石寺三重塔】
所在地/富山県中新川郡上市町大岩153
アクセス/富山地方鉄道「上市」駅から大岩山日石寺まで町営バスで30分
http://ooiwasan.com/home.html
文・写真/佐竹敦
日本全国の即身仏・一之宮・五重塔・三重塔・滝百選・棚田百選・国分寺跡をすべて訪ね歩いた一人旅の達人。テレビチャンピオン滝通選手権出場。主な著書に「この滝がすごい!」「日本の滝めぐり」等。テレビ東京の「厳選!いい宿ナビ」のコラム執筆、@nifty温泉の記事執筆等、ライターとしても各メディアで活躍中。