正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。

Google 先⽣やデジタルデバイスの出現により、便利になった反⾯、情報の中⾝については⼗分な吟味が必要な時代になっております。あなたの「漢字の知識」は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいてもいいかもしれません。

「脳トレ漢字」今回は、「頌春」をご紹介します。年賀状を書きながら漢字への造詣を深めてみてください。

「頌春」は何と読む?  

「頌春」の読み方をご存じでしょうか?  

正解は……
「しょうしゅん」です。

一般的に、新年を祝う言葉、特に年賀状などで使われる賀詞(がし)として定着しています。

意味としては、「春を頌(たた)える」ということ。ここでいう「春」とは、単に季節の春を指すだけでなく、「新年」そのものを意味する言葉です。つまり、「新春を祝い、寿ぐ」という、丁寧な気持ちが込められた言葉なのですね。

「頌春」の由来

「頌」という字は、「ほめる、たたえる、祝う」という意味を持ちます。例えば、功績をたたえる歌を「頌歌」(しょうか)、偉人をたたえる碑を「頌徳碑」(しょうとくひ)などと使いますね。この字には、相手を敬い、その年の始まりを心から祝う、という深い敬意が込められています。

次に、「春」ですが、これは先述の通り、新年を意味します。日本では古くから、立春をもって一年の始まりとする考え方や、春の訪れとともに新しい生命が芽吹くことに希望を見出す文化がありました。太陽の運行を基準とした現在の新暦においても、新年の挨拶に「春」の字を用いるのは、こうした古い季節感の名残といえるでしょう。

これらを合わせ、「頌春」とは「新春をうやうやしく祝い、たたえる」という意味になるわけです。

年賀状と日本の礼儀作法

「頌春」は年賀状でよく見かける賀詞の一つですが、一般的に、年賀状の賀詞には「漢字二文字」(迎春・賀正など)と「漢字四文字」(謹賀新年・恭賀新年など)のものがあります。漢字二文字の賀詞は「新年を祝う」「春を迎える」といった意味を持ちますが、主語や述語が省略された簡潔な表現とされています。そのため、目上の方や取引先など、より丁寧さを求められる相手には失礼にあたる、とされるのが一般的なマナーです。

とはいえ「頌春」は、「頌」という漢字自体に「うやうやしく」「たたえる」という敬意のニュアンスが含まれているため、簡略表現とは一線を画し、目上の方に使用しても問題ないという説も根強くあります。

目上の方へは「謹賀新年」「恭賀新年」といった四文字の賀詞、または「謹んで新春のお慶びを申し上げます」といった文章形式が安心です。

***

いかがでしたか? 今回の「頌春」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 新春をたたえ、希望に満ちた一年のはじまりを言祝ぐ言葉として、ぜひ覚えておきたい漢字です。

来週もお楽しみに。

●執筆/武田さゆり

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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