正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google 先⽣やデジタルデバイスの出現により、便利になった反⾯、情報の中⾝については⼗分な吟味が必要な時代になっております。あなたの「漢字の知識」は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいてもいいかもしれません。
今回は、「時雨」をご紹介します。漢字への造詣を深めてみてください。

「時雨」は何と読む?
「時雨」の読み方をご存じでしょうか?
正解は……
「しぐれ」です。
『⼩学館デジタル⼤辞泉』では「秋の末から冬の初めにかけて、ぱらぱらと通り雨のように降る雨」とあります。短時間のうちにさっと降って、また晴れ間がのぞく、そんな気まぐれな雨の情景を指します。特に日本海側で多く見られる気象現象で、太平洋側の地域でも、冬の訪れを感じさせる雨として親しまれてきました。
また、「じう」と読むこともできますが、この場合は「ちょうどその時」といった、意味合いで使われ、季語としての「しぐれ」が持つ叙情的なニュアンスとは少し異なります。
「時雨」の由来
文字通り「時(とき)の雨」。特に秋の終わりから初冬にかけて、寒気が入りやすくなる時期に降る、断続的な小雨を指します。
和歌や俳句では冬の季語として確立しており、もの悲しさや物思いの情景を表す語として古くから愛用されてきました。「時」の字が示すように、ある時節に特有の雨というニュアンスが込められています。

変わりゆく空模様と、心の情景
人生を重ねてくると、私たちの心もまた、まるで「時雨」のように、晴れたり曇ったり、時には激しい雨が降ったりするものです。若いうちは、一時の感情に流されがちですが、様々な経験を積んだサライ世代の皆様であれば、その心の移ろいを静かに見つめ、受け止めることができるのではないでしょうか。
最近の世相を見ていても、私たちの暮らしは「時雨模様」のようです。政治や経済、社会の情勢は目まぐるしく変化し、時に心穏やかでないニュースに触れることも少なくありません。しかし、そうした「時雨」のような変化のただ中だからこそ、一つ一つの出来事をじっくりと見つめ、焦らず、しかし着実に次の一歩を踏み出す知恵が求められているように感じます。
「時雨」という言葉は、ただの気象現象を表すだけでなく、私たちの心のあり方や、変わりゆく世界との向き合い方にも、深く通じるものがあるのではないでしょうか。
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いかがでしたか? 今回の「時雨」のご紹介は、皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 一瞬の雨だからこそ、季節の移ろいを感じさせ、人生のはかなさまで映し出す。そんな「時雨」をぜひ日々の暮らしの中で感じてみてください。
来週もお楽しみに。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com
