
家庭でもお店で食べるようなおいしい肉料理を作りたいと思ったことはありませんか?
人気焼肉店の店長で、YouTubeチャンネル「肉のプロフェッショナル」で肉の魅力を発信する橋本 宰さんが上梓した『肉のプロフェッショナルだけが知っている 世界一おいしい肉の食べ方』(日本文芸社)には、プロだけが知る肉の選び方、焼き方、味付け、家庭でできる肉料理レシピなどがまとめられています。
今回は、『肉のプロフェッショナルだけが知っている 世界一おいしい肉の食べ方』の中から、国産牛と輸入牛それぞれの良い肉の選び方について取り上げます。
国産牛・和牛は色をよく見よう
国産牛か和牛(※黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種の4品種が「和牛」を名乗れる)かより、まずは色みとツヤをしっかり見ましょう。そうすれば、牛の種類や部位にかかわらず、おいしい肉を買うことができます。
赤身の色が鮮やかな赤色で、脂は白く透明感があり、全体にツヤのあるものを選びましょう。赤身の色が薄く、カサカサした感じのものは、オスと見ていいでしょう。お肉全般にいえることですが、オスよりもメスのほうがおいしいのです。
●国産牛

一般的に牛肉はサシ、つまり赤身の間の脂肪の割合(霜降り度)が多いものがよしとされがち。でも、おいしさにサシの多い少ないは関係ない。だからまず、サシはサシおいて(笑)、赤身が鮮やかな赤色で、脂肪の白さに透明感があり、しっとりしているものを選ぼう。
●和牛

いっぽう、和牛4品種(黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種)のなかで95%以上を占める黒毛和種は、霜降りの度合いは世界最高とまでいわれる。でも、要注意! 同じ黒毛和種でも、去勢牛はサシが多くてもきめが粗く、味がいまいち。その点、メスはサシのきめが細かく、甘みと旨みがあっておいしい。できるだけメスを探そう。
和牛のメスはなぜおいしいのか?
雌牛は雄牛に比べて、皮下脂肪が多く、肉質がきめ細かいのが特徴です。そのため、口に入れたときの舌触りもよ
く、筋肉質なかたい肉質のオスよりもおいしいのです。また、香りもメスのほうがよいです。これは理屈よりも男子
の部室が汗臭くて、女子の部室がそうでないのと同じことです(笑)。
このように雌牛の肉のほうがおいしいため、雄牛を去勢してメスに近づけるのです。そうすることによって男性ホル
モンを抑え、サシが入った(脂がのった)肉用牛を育てます。
輸入牛はサシが多いものを探そう
“和牛は世界最高の肉”。たしかにそのとおりです。
でも、一方で外国産の牛肉もとてもおいしい。和牛よりも断然安いので、気軽に豪快な肉料理を楽しむことができます。
ぼくのおすすめは、アメリカ産牛。輸入牛はかたいと敬遠する人もいますが、輸入牛のなかでもサシがたくさん入った肉は、想像以上にやわらかいのです。
赤身が好きだから、サシが入っているよりもむしろ、「真っ赤っかな肉を選ぼう」という方がよくいらっしゃいますが、それは黒毛和牛の場合の選び方です。
輸入牛の場合はもともと赤身が強く、かための肉が多いため、サシがより多く入った肉のほうがおいしく食べられ
ます。かつ、たるみがなく角がピンと立っている肉を探しましょう。それが輸入肉の選び方のコツです。
●輸入牛

サシの多さが、やわらかさを物語る。輸入牛の脂はさっぱりしているので、もたれずにいくらでも食べられるほど。切り口の角が立っているのは新鮮な証拠で、ステーキに最適。ちなみに、輸入牛はサシは多ければ多いほどいいと思ってもらって大丈夫。(写真はアメリカ産牛肩ロース)
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肉のプロフェッショナルだけが知っている 世界一おいしい肉の食べ方
著/橋本 宰
日本文芸社 1,320円(税込)
橋本 宰(はしもと・おさむ)
1971 年生まれ。山形牛専門店「焼肉ホドリ用賀店」店長。長期肥育の雌牛のみを厳選し心のこもったサービスで多くの利用客から支持を得ている。YouTubeチャンネル「肉のプロフェッショナル」では普段見ることができない肉の取り扱いの技や飲食店の裏側、家庭で再現できるおいしい肉の食べ方のコツが人気を博し、2025 年5月現在、チャンネル登録者数は20 万人超。現在は複数の系列店舗も経営しながら、肉の魅力や飲食店経営のノウハウを発信し続けている。
※『肉のプロフェッショナルだけが知っている 世界一おいしい肉の食べ方』(橋本宰 著/日本文芸社 刊)より、一部を抜粋してご紹介しています。
