ル・コルビュジエの後期の絵画芸術に注目した初めての展覧会【ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合1930-1965】

近代建築の巨匠として世界的に知られる建築家ル・コルビュジエ（1887-1965）は、活動の後半期において、建築の指揮のもとで絵画や彫刻をつなぐ試みを「諸芸術の綜合」と言い表しました。「諸芸術の綜合」とは、統一、調和、普遍的法則の理想主義に導かれた彼の芸術観全体を示すスローガンでもありました。
建築以外の視覚芸術分野においてもル・コルビュジエが求めた革新は、1930年代以降に彼が手がけた絵画、彫刻、素描、タペストリーなどの作品にうかがうことができます。

パナソニック汐留美術館で開催の「ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合1930－1965」は活動の後半期にスポットをあてた展覧会です。（2025年１月11日～３月23日）
※本展はパリのル・コルビュジエ財団の協力のもと開催されます。

本展の見どころを、広報事務局にうかがいました。

「本展は、ル・コルビュジエの後期の絵画芸術に注目した初めての展覧会です。活動の前半期に焦点をあてた「ル・コルビュジエ　絵画から建築へ―ピュリスムの時代」（国立西洋美術館、2019年）に続き、40歳代以降の円熟期の創作にスポットをあてています。

展覧会は４つの章で構成し、国内外から借用した約90点の作品・写真資料を展観します。
第１章「浜辺の建築家」では、1930年代のパリの芸術界に現れた新しい傾向、それまでの機械万能主義から自然科学的関心へと価値観が転換した時期の様相を検証します。

第２章「諸芸術の綜合」では、ル・コルビュジエの円熟期の創作活動を紹介します。絵画、素描、彫刻、タペストリー、建築、都市計画はすべて彼にとって「ひとつの同じ事柄をさまざまな形で創造的に表現したもの」でした。

第３章「近代のミッション」では、「偉大な精神性の時代」に近づくための段階として抽象芸術を位置づけたカンディンスキーの世界観と対峙します。
第４章「やがてすべては海へと至る」では、1954年に執筆した論考の中でテクノロジーの発達でネットワーク化、グローバル化を予見したル・コルビュジエの先見性を検証します。
以上４つの章で、20世紀の革新的頭脳の創造の源泉に迫ります」

近代建築の巨匠の頭の中をのぞく興味深い展覧会です。ぜひ会場に足をお運びください。

【開催要項】
ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合1930-1965
会期：2025年１月11日（土）～３月23日（日）
会場：パナソニック汐留美術館
住所：東京都港区東新橋１－５－１ パナソニック東京汐留ビル４階
電話：050・5541・8600（ハローダイヤル）
公式サイト：https://panasonic.co.jp/ew/museum/
開館時間：午前10時～午後6時（ご入館は午後5時30分まで）
※土曜日･日曜日･祝日は日時指定予約：公式サイト参照（平日は予約不要）
※2月7日（金）、3月7日（金）、14（金）、21（金）、22（土）は夜間開館 午後8時まで開館（ご入館は午後7時30分まで）
料金：公式サイト参照
アクセス：公式サイト参照

取材・文／池田充枝