荒れ果てた屋敷に巣くう不気味な妖怪や、恨みを晴らそうと恐ろしい形相で睨みつける幽霊。浮世絵にはさまざまなお化けが登場し、時には見るものを怖がらせ、時にはそのユーモラスな姿で笑わせます。身も凍らせるお化け話は夏ならではの題材でした。
太田記念美術館の「浮世絵お化け屋敷」展は、夏恒例の展覧会です。(8月3日~9月29日)
本展の見どころを、太田記念美術館の主席学芸員、日野原健司さんにうかがいました。
「浮世絵お化け屋敷展は、妖怪や幽霊たちを描いた浮世絵174点(前後期で全点展示替え)を紹介する展覧会です。
一度見たら夢にまで出てきそうなのが、歌川国芳の代表作「相馬の古内裏」。荒れ果てた屋敷の中、闇の中から巨大な姿をのぞかせる不気味な骸骨の姿はとてもインパクトがあります。
展示されるのは怖い浮世絵だけではありません。楽しそうに踊る猫又や、まるで人間のような表情をした河童など、可愛くてユーモラスな妖怪たちもたくさん登場します。
中でもお勧めなのが、歌川芳藤の「髪切の奇談」。夜中に突如現れ、女性の髪の毛を食いちぎるというとても恐ろしい化け物なのですが、全身真っ黒でずんぐりむっくりとした姿は、まるで現代のゆるキャラのようです。
今回の展覧会の出品作品の内、約2割が新たに収蔵された初公開のものです。これまで太田記念美術館に足を運んだことがある方も、ぜひ新しいお化けたちに会いに来てください」
江戸っ子を喜ばせた怖いもの見たさの極致!! ぜひ会場でお楽しみください。
【開催要項】
浮世絵お化け屋敷
会期:2024年8月3日(土)~9月29日(日) ※前後期で全点展示替え
前期8月3日(土)~9月1日(日) 後期9月6日(金)~9月29日(日)
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
開館時間:10時30分~17時30分(入館は17時まで)
休館日:8月5日(月)、8月13日(火)、8月19日(月)、8月26日(月)、9月2日(月)~5日(木)、9月9日(月)、9月17日(火)、9月24日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝