失業した場合や、病気やけがで収入が得られない場合など、国民健康保険や国民年金の保険料が負担に感じるケースがあります。このような場合に保険料を減額、または免除される制度があるのはご存じでしょうか? 今回は、公的保険料の減免制度について詳しく見ていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
保険料が高すぎて払えない場合、減額できる?
保険料が減額される場合のメリット・デメリット
減額が認められないケース
減額の申請の仕方
まとめ
保険料が高すぎて払えない場合、減額できる?
国民健康保険や国民年金は皆保険です。そのため、国民健康保険は他の健康保険制度に加入していなければ、20歳から74歳まで(75歳からは後期高齢者医療保険料)保険料を納める必要があり、国民年金は厚生年金に加入していなければ、20歳から60歳まで保険料を納める必要があります。
しかし、失業した場合や、病気やけがで働けず収入を得ることが出来なかった場合など、保険料の支払いが困難になるケースが考えられます。国民健康保険や国民年金は、それぞれの要件によりますが、保険料の軽減、減免制度・免除制度・納付猶予制度などがあり、保険料負担を軽減できる場合があります。
国民健康保険料の場合
保険料の軽減、減免制度
国民健康保険料の軽減措置を受ける条件は、失業した際の退職理由が非自発的だということが重要です。簡単にいうと、「会社都合」での退職や「倒産」による退職であることが該当します。軽減される額は、基本的に前年度の給与所得30/100で算出します。
具体的な軽減額を知りたい場合は、住んでいる市区町村の役所の窓口で相談しましょう。この他にも、病気やけがで収入が激減した場合や、大災害などで収入が得られなかった場合など、保険料の納付が困難と認められた場合、保険料の軽減措置を受けることが出来る可能性があります。
また、前年度の世帯所得額が一定額以下になれば、保険料が軽減されます。軽減の割合は、世帯所得額と世帯主を除く世帯内の加入者数によって、7割・5割・2割と定められています。
国民年金保険料の場合
保険料免除制度
本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が、一定額以下の場合や失業した場合など、保険料を納めることが経済的に困難な場合は、申請書を提出し、承認されると保険料の納付が免除されます。免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。
保険料納付猶予制度
20歳以上50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が、一定額以下の場合には、申請書を提出し、承認されると保険料の納付が猶予されます。
保険料が減額される場合のメリット・デメリット
保険料が減額される場合の、メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
減免制度などにより、保険料が軽減される場合のメリットは、保険料が日々の生活費などを圧迫することを軽減できる点にあります。会社都合での退職の場合など、想定外に収入が途絶えた時にはとても役に立つ制度と言えるでしょう。
また、制度を受けることで、保険料を故意に未納にした場合に受けるデメリットを軽減できることもメリットの一つです。
デメリット
国民健康保険料の減免制度の場合
国民健康保険料の減免制度によるデメリットはなく、減免制度が適用されていれば保険診療を受けることが出来ます。減免制度を受けることなく、故意に未納のままにしてしまうと保険診療を受けることが出来なくなることもありますので、未納のままにしないように注意する必要があります。
国民年金の免除制度や納付猶予制度を利用した場合
国民年金の免除制度や納付猶予制度を利用した場合、制度を受けていた期間によって、将来受け取る年金の額が減額されます。国民年金の保険料を故意に未納のままにした場合も、未納の分将来受け取れる年金額が減額されます。また、未納期間が長い場合、年金の受給要件を満たせないケースも考えられますので注意が必要です。
減額が認められないケース
保険料の減額が認められないケースは、以下の通りです。
自己都合による退職
失業した場合に、すぐに国民健康保険料の軽減制度を適用できるのは、非自己都合による退職であることが要件です。自己都合による退職は、軽減制度の要件として認められません。
前年の所得額が一定を超える
国民健康保険料は、前年度の世帯所得額と世帯主を除く世帯内の加入者数によって決まりますので、世帯所得が一定額を超える場合、減免制度は適用されません。国民年金保険料も、本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が、一定額を超えると免除制度や保険料納付猶予制度は認められません。
減額の申請の仕方
国民健康保険料と国民年金の減額の申請方法を、それぞれ見ていきましょう。
国民健康保険料の減免制度の申請方法
国民健康保険料の軽減、減免制度の申請をする場合、以下の書類をそろえて住んでいる市区町村の役所に申請します。
・減免申請書(窓口で配布、または自治体のウェブサイトからダウンロード可能)
・収入や支出の状況を証明する書類(給与明細、確定申告書、失業証明書など)
・世帯全員の住民票
・保険料の納付状況が分かる書類
・その他自治体が指定する書類
具体的な書類は自治体によって異なるため、窓口で確認する必要があります。
国民年金の保険料免除・保険料納付猶予制度の申請方法
市区町村の役所や、日本年金機構の年金事務所で申請手続きを行ないます。一般的な必要書類は以下の通りです。
・国民年金保険料免除・納付猶予申請書
・本人確認書類
・収入を証明する書類(所得証明書、失業証明書など)
・その他特定の事情を証明する書類(災害の場合は罹災証明書など)
まとめ
失業などで収入がなくなった時の、国民健康保険や国民年金の保険料はかなり負担に感じることがあるかもしれません。しかし、保険料を故意に未納とすることなく、減免制度などを利用すれば未納によるデメリットを軽減することが出来ます。保険料の支払いが困難な場合、どのような制度が利用できるのか確認することが重要です。
さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
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