「保険料」には、民間の生命保険などの保険料と、公的な健康保険や年金などの保険料があります。保険料は保障を得るためには支払いは避けられませんが、保険料が増額することで生活費が圧迫されことはあり得る話です。今回は、なぜ保険料は増額するのかということについて詳しくみていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
保険料が増額する理由
国民健康保険料が増額する場合
社会保険料が増額する場合
保険料の負担を減らす方法
まとめ
保険料が増額する理由
保険料が増額する理由は大きく分けると、「保険料の料率改定により増額される場合」と「人それぞれの要因によって増額する場合」があります。
保険料の料率改定により増額される場合
保険には、保険料を算出する基礎となる「保険料率」というものがあります。保険料率は、死亡率・疾病率・経済状況・金利・少子高齢化など、様々な要因を加味して決められます。生命保険ならば、主に死亡率や金利。医療保険ならば、主に疾病率や医療費の動向。年金保険なら、主に賃金水準や人口動態といったように、それぞれの保険で保険料率が定められています。
民間の保険商品も公的な健康保険や年金も、この保険料率が引き上げられることで保険料は増額します。
人それぞれの要因によって増額する場合
<民間の保険>
民間の保険の場合、保障額・期間・年齢など人ぞれぞれの要因によって保険料は異なります。
保障額の増額
保険金額や入院日額などの保障額をあげれば、保険料は増額します。
期間
保険期間が長くなる場合や、保険料払込期間を短くする場合など、期間によって保険料は増額します。
年齢
加入年齢が高ければ高いほど、保険料は増額します。
<公的保険の場合>
会社員や公務員などが加入する、いわゆる被用者健康保険や厚生年金保険(社会保険)は、標準報酬月額に基づいて保険料は計算されます。会社員や公務員以外の国民が加入する国民健康保険は、所得に基づいて計算される所得割と、加入者全員が均等に負担する均等割、世帯ごとに負担される平等割などを組み合わせて計算されます。
標準報酬月額や年間の所得が上がれば、保険料も増額されるのです。国民年金保険は、所得によって変動することなく、一律の保険料となります。
国民健康保険料が増額する場合
国民健康保険の保険料が増額する場合について、詳しくみていきましょう。
増額する仕組み
(1)所得割
所得割は、加入者の所得に応じて計算される部分です。所得割の計算には、前年の総所得金額(給与、事業所得など)から、基礎控除や必要経費などを差し引いた後の課税所得が使用されます。所得割の計算式は、次の通りです。
所得割=課税所得×所得割率
この計算式によると、課税所得または所得割率が上がれば保険料は増額となります。
(2)均等割
均等割は、世帯ごとに加入者1人あたりの定額の負担です。すべての加入者(成人・子供を問わず)に、同じ額が課せられます。例えば、均等割額が1人あたり30,000円であれば、世帯人数分の均等割が加算されます。つまり、世帯人数が増えると保険料は増額となります。
(3)平等割
平等割は、世帯単位で課せられる定額の部分です。すべての世帯に一定の額が課せられ、世帯の人数に関係なく同じ金額です。平等割での保険料の増額は、課される一定の額が増額されることによります。
社会保険料が増額する場合
続いて、社会保険料が増額する場合について詳しくみていきましょう。
増額する仕組み
(1)被用者健康保険料
被用者健康保険の保険料は、標準報酬月額に基づいて計算されます。
<計算方法>
標準報酬月額とは、月々の給与を基にした保険料の計算基準額です。健康保険料は、標準報酬月額に所定の保険料率を掛けて算出します。保険料は事業主と被保険者(労働者)が折半します。
例)健康保険料の計算
標準報酬月額が30万円・健康保険料率が10%(事業主と従業員がそれぞれ5%ずつ負担)の場合
30万円×5%=15,000円
従業員と事業主のそれぞれが、 15,000円 を負担します。この計算式によると、標準報酬月額または健康保険料率が上がれば、保険料は増額となります。
(2)厚生年金保険料
厚生年金保険料も、標準報酬月額を基に計算されます。
<計算方法>
標準報酬月額に基づき、一定の厚生年金保険料率を掛けます。厚生年金保険料も健康保険料と同様に、事業主と従業員が折半します。
例)厚生年金保険料の計算
標準報酬月額が30万円・厚生年金保険料率が18.3% (事業主と従業員がそれぞれ9.15%ずつ負担)の場合
30万円×9.15%=27,450円
従業員と事業主がそれぞれ 27,450円 を負担します。この計算式によると、標準報酬月額または、厚生年金保険料率が上がれば、保険料は増額となります。
社会保険には、この他にも雇用保険・労災保険・介護保険があります。しかし、どれも給与額や標準報酬月額に保険料率を乗じて保険料を計算するため、給与や保険料率が上がることが保険料増額の要因となります。
保険料の負担を減らす方法
保険料が増額すると、保険料の払い込みによる負担が生活費を圧迫することがあるかもしれません。保険料を減らす方法としては、以下のような方法が考えられます。
<民間の保険の場合>
保障を減らす
保障金額や特約の種類を減らすと、保険料は減額されます。しかしながら、必要な保障まで削減してしまうのはあまり得策とは言えません。
他の保険会社の商品と比較する
他の保険会社の内容が、同じ保険を比較して保険料の安い保険に加入し直します。
<公的保険の場合>
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する
iDeCoに加入すると毎年の掛金が所得控除となり、その結果、課税所得が減少します。社会保険料の計算基準となる課税所得が減少することで、国民健康保険の保険料負担を軽減することができます。
企業型確定拠出年金(DC年金)を活用する
会社が提供している企業型確定拠出年金制度(DC年金)を活用することで、税制優遇を受けることができます。これにより、社会保険料の計算基準となる所得が減少します。
まとめ
民間の保険は任意の加入なので、保険金額などを自分で調整できますが、公的保険は皆保険であるため自分で調整するのは困難です。保険料を減らすことより、資産や収入を増やすことを検討した方がいいといえるでしょう。
さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
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