語学が堪能だったら、「仕事や趣味の選択肢がもっと広がるだろう」、「海外旅行がもっと楽しくなるだろう」と思っていても、語学学習はなかなか継続しにくく、何度も挫折している人も多いでしょう。ましてや独学なんて無理! とほとんどの方が思っているかもしれませんが、『ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法』(SBクリエイティブ)の著者であるKazu Languagesさんは、日本で生まれ育ちながら、たった5年間で12ヵ国語(スペイン語、英語、フランス語、アラビア語、インドネシア語、ロシア語、ポルトガル語、ドイツ語、トルコ語、中国語、タイ語、韓国語)を習得しました。本書では、ほぼ独学で多言語話者となった著者が、遊ぶように学んで外国語を習得する極意を公開しています。
今回は、Kazu Languagesさんが実践した「外国語習得を加速させる習慣術」をご紹介します。意欲はあるのに習慣化させるのが難しいという人に役立つこと請け合いです。
文/Kazu Languages
初期段階の地道な積み重ねが、後から効いてくる
これまでに12ヵ国語を習得してきて、私はつくづく「言語習得に極端な近道はない」と実感しています。「これをするだけで、たったの3ヵ月でペラペラ!」といった方法は存在しないと考えたほうがいいということです。年月をかけなければ習得できないという意味ではありません。効果的な方法を効率的に実践していけば、日常会話レベルなら半年~1年間で習得できるでしょう。
もちろん、習得できるまでの期間は、1日にどれくらいの量をこなせるかにもよります。後で詳しく紹介しますが、ここで大切なのは、「勉強時間」ではなく「勉強量」であることです。頑張って勉強量を増やしすぎると、早々にモチベーションが低下してしまう恐れがあるので、各々にとって無理のない時間配分で学んでいくのがベストだと思います。特に学び始めのころは、1~2日でも間隔が空くと前に学んだことを忘れてしまいます。私もそうです。ですから、あまり上を見すぎず、焦らず、「とにかく、やめないこと」「毎日、その言語に触れること」を意識してください。やはり現実的に考えると、それほど多くの時間を言語習得に割けない人が大半でしょう。だからこそ、効果的な方法を効率的に実践していくことが、外国語習得の最大の鍵といえるのです。
毎日「決まった時間」に「決まった量」を学習する
継続の最大のコツは習慣化です。朝、顔を洗う。歯磨きをする。これらの行動は当たり前すぎて、「面倒くさいな。今日はいいか……」なんて思う人はいないでしょう。これに匹敵するくらい当たり前の習慣として、外国語学習が日常に組み込まれると「面倒くさいな。今日はいいか……」と思うまでもなく継続できます。それどころか学習時間をもたないと気持ち悪いくらいになるかもしれません。
そのためには、1日のうちの「どのタイミングに勉強するのか」をあらかじめ決めておくことをおすすめします。「朝、起きたら顔を洗う」「食後に必ず歯を磨く」というように、習慣はタイミングと密接に結びついています。ですから外国語学習も、「昼休みになったらPimsleurを開く」「通勤中はPodcastを聴く」というようにタイミングを決めておくと、日常生活の中で習慣化しやすいでしょう。ちなみに私は、朝は脳がリフレッシュされていて集中力が高いような気がするので、起床直後を外国語学習の時間としています。また、1日にどれくらい勉強するかを「時間の長さ」ではなく「量」で決めることも大切です。たとえば、「1日に1レッスンを終わらせる」という具合にです。
「時間の長さ」は一見、わかりやすい目安なのですが、学習の充実度が高かろうと低かろうと「今日もクリアした」と見なしてしまうという落とし穴があります。「毎日、30分勉強する」といった決め方だと、その30分をダラダラ過ごしてしまうかもしれません。すると、「毎日、勉強時間を確保している割にぜんぜん上達しない」なんてことにもなりかねないのです。また、1日あたりの勉強量を決めないままだと、やる気満々でいられる学習の初期段階はたくさん量をこなせても、徐々に失速し、いつの間にか学習習慣すらも失われる危険があります。1日に決まった量を学ぶことにすれば、こうした事態は避けられます。「今日はこのフレーズを覚えた」「この会話文を理解した」「この文法を覚えた」といった達成感を得られることも、継続の推進力になるでしょう。
毎日、決まった時間に、決まった量を勉強する場合、外国語学習が一気にはかどることはありません。その代わりに、突然、失速するリスクも限りなく低くできます。毎日、一定のペースで学んでいくことが、結局のところ最も確実なのです。
「覚えたこと」を忘れない方法
まだまだ先のことのように思えて想像がつかないかもしれませんが、せっかく習得した言語を忘れてしまうのは一番避けたいことでしょう。言語は日常的に使用しないと徐々に忘れてしまうものです。私も習得した言語の維持には苦労してきました。色々な方法を試して気付いたのは、1日たった5分間でも言語に触れる時間を作るだけで、大きな違いが表れるということです。
独り言、SNS、日記、趣味を学習中の言語で楽しむ、すべて5分もあればできるので、ぜひ言語を習得した後の維持法としても取り入れてください。習得言語の維持という点については、次の習慣も加えておきます。
・通勤や通学の時間に、その言語のPodcastやYouTubeを視聴する
・その言語の単語や文法で気になる点が生じたら、すぐに調べる
とにかく「その言語が頭から離れてしまう時間」を極力作らないことが重要です。もちろん、オンラインレッスンなどで頻繁にネイティブとコミュニケーションを取るのが理想です。しかし、それが難しい場合でも、その言語について考えたり調べたする時間を少しでも確保すれば、語学力を維持することができます。
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ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法
著/Kazu Languages
SBクリエイティブ 990円
Kazu Languages(カズ・ランゲージズ)
インフルエンサー。
2000年3月4日生まれ。愛知県出身。スペインの音楽に関心を抱いたことをきっかけとして、独学で外国語学習を開始。以降、約5年間で12ヵ語を習得(スペイン語、英語、フランス語、アラビア語、インドネシア語、ロシア語、ポルトガル語、ドイツ語、トルコ語、中国語、タイ語、韓国語)。 外国語学習の楽しさを発信するため、 2022年に本格的に「Kazu Languages」というチャンネル名でYouTuberとしての活動を開始。年内に登録者数10万人を突破、翌年には台湾の急上昇ランキング3位を記録、そして日本国内でも急上昇ランキング18位となり、アメリカ、ロシア、ブラジル、ドイツ、インドなどさまざまな国からも視聴されるチャンネルになった。YouTube、TikTok、Instagram、Facebookの総フォロワー数は現在、のべ200万人となっている。