最近は随分と便利な世の中になったもので、スマートフォンが通訳をしてくれる時代になりました。若い頃は流暢に英語を使えるようになりたいと思って、一生懸命勉強したことが懐かしく思い出されます。そんな若い頃を思い出しながら、もう一度英語の勉強をしてみるのもいいのではないでしょうか?

さて、今回紹介するのは「Every cloud has a silver lining.」です。

目次
「every cloud has a silver lining」の意味は?
「every cloud has a silver lining」の起源や由来は?
「雲」にはどのような意味がある?
最後に

「Every cloud has a silver lining.」の意味は?

「Every cloud has a silver lining.」を直訳すると、cloud は「雲」、liningは「衣服などを裏内する、裏地を貼る」なので、直訳すると「どんな雲も(後ろから輝く太陽の光に照らされて)銀色の裏地が貼られている」ですが……、そこから転じて

正解は……
「どんな困難な場面にも、良い面や希望がある」という意味があります。

『小学館 ランダムハウス英和大辞典』では、「『どんな雲も裏は銀色に光っている』ということわざから」(不幸な境遇・状況の内にもある)希望の兆しであると説明されています。

雲

「Every cloud has a silver lining.」の起源や由来は?

このフレーズは、イギリスの詩人で、歴史家でもあるジョン・ミルトン(1608-1674)が初期に書いた戯曲『コマス』(Comus) に起源します。

シェイクスピア以来、もっとも偉大な詩人の一人とされたミルトンは、言論の自由を主張し、性格の不一致による離婚は認められるべきだと公言した最初のピューリタン(清教徒)でもありました。

のちに失明しながらも、最大傑作といわれる『Paradise Lost』(失楽園)を完成させます。キリスト教徒の視点から、苦しさの中に光を見出す力強さが今でも作品が愛されている理由なのではないでしょうか?

「雲」にはどのような意味がある?

空を漂う雲は、常に変化する形や大きさから、古代より人々の想像力をかき立て、東洋、西洋を問わず数え切れないほどの芸術、文学、音楽にインスピレーションを与えてきました。

雲に関わるさまざまな英語表現の一部をご紹介します。

on cloud nine(この上なく幸せ、最高の気分で)

have one’s head in the clouds(空想にふける、ぼんやりしている)

cloud computing

現代ではコンピューターの「クラウド」としてインターネットを通じて必要なときに必要なだけサーバーの提供を受けられることばにも使われていますね。

雲

禅僧、詩人、そして人権運動家でもあるベトナム出身のティク・ナット・ハンは、西洋に仏教やマインドフルネスの思想を広めたことで知られています。

ニューヨークのブルークリフ僧院でおこなわれた法話では、子どもたちの前で ユーモアを交えながら雲について説いています。

And the cloud has a good time travelling.
When it falls down, it does not die.
It just become the cloud under the rain.
The cloud can never die.
The cloud can become snow, or rain, or ice.
But the cloud can never die.
So the cloud become the rain, the rain become the creek on a mountain and the creek flow down and become the river and the river goes to the sea and the heat generated by the Sun help the water in ocean evaporate and become cloud again. So the cloud has a good time travelling. And wearing all kind of forms, wearing all kind of appearance.

【和訳】
雲は良い時間の旅をします。
雲は落ちても死にません。
ただ雨になるのです。
雲は決して死にません。
雲は雪となり、雨となり、氷となる。
けれど雲は決して死にません。
雲は雨となり、雨は山を流れる小川となり、小川は川に流れて、川は海へと向かう。そして太陽が発する熱によって海の水は蒸発し、再び雲となる。
雲は楽しい時間の旅をします。
あらゆる形を身にまとい、あらゆる姿であらわれるのです。

雲は水となり、私たちはその水から淹れたお茶をいただく。そんなことを考えながら空を見上げると、まるで壮大な物語の中にいるようです。

最後に

いかがでしたか? 「雲」は変化や変容の象徴。困難にある時、雲の合間から差す銀色の光の筋に希望を見出すこのフレーズは、長い年月を経て人々を勇気づけてきました。

みなさんも少し疲れた時に空を見上げ、移り変わってゆく雲の旅に思いを馳せるのはいかがでしょうか。そうした思いも、英語から感じ取っていただけたら幸いです。次回もお楽しみに。

●執筆/池上カノ

日々の暮らしやアートなどをトピックとして取り上げ、 対話やコンテンツに重点をおく英語学習を提案。『英語教室』主宰。  京都祇園にある建仁寺塔頭両足院をベースに、ひとつのテーマについて英語で語りあう『うごく哲学』を対面とオンラインで定期開催。その他、他言語を通して、それぞれが自分と出会っていく楽しさや喜びを体感できるワークショップやイベントを多数企画。

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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