字画も少なく、しょっちゅう目にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか⼼配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか? サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。
簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の記事を読みながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。「脳トレ漢字」第191回は、「供養」をご紹介します。死者の冥福を祈って行われる「供養」。仏教を起源とし、世界中で様々な形式の供養が行われています。
実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「供養」とは何とよむ?
「供養」の読み方をご存知でしょうか? 「きょうよう」ではなく……
正解は……
「くよう」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「死者の冥福を祈って法会を営むこと。」「仏・法・僧の三宝や死者に、供物を供えること。」と説明されています。「供養」という言葉は、サンスクリット語の「プージャー」「プージャナ」に由来するそうです。
これらは、「尊敬」を意味するため、本来は相手に対する尊敬の念から香華などを捧げることを「供養」と呼んでいました。一方、バラモン教(ヒンドゥー教の前身で、古代インドの民族宗教)では、何らかの報酬を求めたり、感謝の意を表したりするために神々に供物を捧げていたそうです。
同じ「供養」でも、宗派によって意味合いが大きく異なっているのが分かります。
「供養」の漢字の由来は?
「供養」は、仏・法・僧の三宝や死者などに供給し、資養することを意味する仏教用語です。そのため、「供養」という漢字で表記されるようになったと考えられます。
「針供養」の伝承
皆さまは、「針供養」についてご存知でしょうか? 針供養とは、針仕事を休んで古針や折れ針を供養し,裁縫の上達を祈る行事です。毎年2月8日、または12月8日に行われていたとされ、俳句では春の季語になっています。
針供養が行われる日を厄日とする地域が多く、この日は早く仕事を切り上げて家で休養した方が良いという言い伝えが、東日本を中心に広まったそうです。また、富山県には、姑から針山の針を盗んだという濡れ衣を着せられた嫁が12月8日に身を投げたため、この日は海が荒れてハリセンボンが打ち上げられるようになったという怖い伝承もあります。
どちらも伝承のため、厄日と針供養の関係性には定説がありません。一説では、女性に縁のある和歌山県の加太(かだ)神社発祥であると言われています。また、江戸時代後期から明治時代にかけて、裁縫の腕を上げるために行われ始めた儀式に由来するという説もあるそうです。
針供養のやり方も地域によって様々で、古くなった針を紙に包む地域もあれば、豆腐やこんにゃくに刺す地域もあります。
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いかがでしたか? 今回の「供養」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 早いもので、もうすぐ春彼岸の時期ですね。ご先祖様やお世話になった故人の供養はもちろん、日頃使っている道具を綺麗にしてみるのも良いかもしれません。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
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