NISA制度(少額投資非課税制度)は、基本的に将来の資産形成を目的としていますが、いつ売却したら良いのか? そもそもどのような時に売却すればよいのか? ということで悩む人もいるかもしれません。今回は、保有している資産の「売却の方法」や「売却のタイミング」について、詳しくみていきましょう。

100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。

目次
NISAを売却する方法とは
NISAを売却するタイミング
NISAを売却し再投資するには
まとめ

NISAを売却する方法とは

NISA口座の株式や投資信託を売却する際には、保有している口座の金融機関で、店頭または電話での手続きやwebページにて手続きをすることが出来ます。

NISA口座の株式や投資信託を売却する際には、以下のような方法があります。

<株式を売却する場合>

株式は株数を指定して売却します。基本的には100株を1単元としていますので、売却数も100株単位となります。例えば、1,000株保有しているうち、100株売却や200株売却といったように売却する、ということです。

<投資信託を売却する場合>

投資信託では、売却のことを「解約」と言います。解約する方法は、「一部解約」と「全部解約」の2通りがあります。

一部解約】

・金額指定解約
保有しているファンドの評価金額の範囲内で、1円単位で金額を指定して解約します。

・口数指定解約
保有しているファンドの口数の範囲内で、1口を単位として口数を指定して解約します。

全部解約】

保有しているファンドを全額、全口数解約します。

投資信託を売却すると手数料がかかる?

投資信託を売却(解約)する際には、「信託財産留保額」という手数料がかかる場合があります。「信託財産留保額」とは、一部の人がファンドを頻繁に短期売買することで、ファンド全体の価格の安定性が崩れてしまうことへの防止策として設定されている手数料のことで、売却する際に支払います。ただし、最近は信託財産留保額を設定していないファンドも多くあります。

NISAを売却するタイミング

株式や投資信託を売却するタイミングとしては、値上がりしているときが望ましいというのは言うまでもありません。しかし、NISA制度を利用して長期分散投資をする人は、目先の値動きとは違った3つの視点で売却するタイミングを検討することをおすすめいたします。

<目的の資金として使う時>

投資により形成した資産は、いつかは売却して使う時がやってきます。例えば、定年を迎え200万円で海外旅行したい場合の資金が、投資で資産形成した目的の一つなのであれば、目的の資金として使用するために売却する、というのはタイミングの考え方の一つです。

<旧NISAの保有期間終了時>

2023年までのNISA制度(旧NISA)は、新規で購入することは出来ませんが、運用を続けることは出来ますので、引き続き旧NISAで運用している人は多いのではないでしょうか? 旧NISAは保有期間が決められているため、期間が終了すると特定口座などの課税口座へ自動的に移管されます。

移管後も、特定口座や一般口座で運用を続けることが出来ますが、NISA制度の最大のメリットは、利益に対して非課税であることを踏まえると、保有期間終了の直前が売却のタイミングであると考えられます。継続的に投資を続けたい場合は、新NISA制度の投資枠を利用することをおすすめいたします。

この場合は、特定口座に移管される前に一旦売却して、新NISAの成長投資枠において改めて購入し直すことになります。移管後に売買することも可能ですが、もし移管後に売却したときに譲渡益が発生した場合には、課税されることに注意しましょう。

<リバランスをするために売却>

長期分散投資をしていくなかで、欠かせないのが「リバランス」という作業です。リバランスとは、はじめに決めたポートフォリオの割合が運用結果によって、バランスが崩れた時に元の割合に戻すという作業です。例えば、株式50%・債券50%の半分ずつに分けるポートフォリオとして投資をはじめて、1年後に株式60%・債券40%となっていた場合、元の株式50%・債券50%の割合に戻すということです。

この場合、株式を全体の10%売却して、売却した分で債券を購入するという作業になります。この作業は戦略として機械的に「ズレたら戻す」ということをするので、定期的にポートフォリオのバランスをチェックして、リバランスが必要なときが売却のタイミングであると言えます。

NISAを売却し再投資するには

売却をしたらそれで終わりというケースもありますが、再投資するケースも考えられます。

再投資とは?

再投資とは読んで字のごとくですが、再度投資をするということです。投資元本だけでなく、得られた利益についても再投資をする場合があります。株式や投資信託を売却して得た資金で、別の株式や投資信託を購入することも再投資であることには変わりありません。

新しいNISA制度においては、売却した資産の投資元本に相当する額について投資枠が復活するので、その枠の範囲で再投資することができます。例えば、元本100万円の投資が120万円に増えている場合に、それを全額売却すると100万円のNISA枠が復活するので、その枠を再利用して再投資することが可能です。

売却しなくても再投資は出来る

投資信託では、分配金を受け取ることが出来るタイプのファンドがありますが、分配金を受け取らずに投資元本に組み入れて再投資することが出来ます。この場合、ファンドを売却する必要はありません。株式においては、配当金が出た場合に、配当金を元本に充てて購入することで再投資することが出来ます。

まとめ

投資資産を売却する際には、「これから値上がりするかもしれない」という感情が出てくることは当然かと思います。しかしながら裏を返せば、「これから値下がりするかもしれない」ということです。感情に左右されないためにも、あらかじめ売却するタイミングを機械的に決めておくことをおすすめいたします。

NISAは、資産運用する人にとって必須アイテムと言えますが、投資にはリスクがあります。ルールを理解した上で、非課税のメリットを生かすために上手にNISAを活用していきましょう。

資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行なわれています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか? 

さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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