古都奈良に春を告げる行事、お水取りは、3月12日の深夜「若狭井(わかさい)」という井戸からご本尊の観音様にお供えする「お香水(おこうずい)」を汲み上げる、二週間の法会のうちの儀式です。
また、二週間の行を勤める練行衆(れんぎょうしゅう)の足元をてらす道明かりとして、夜ごと松明(たいまつ)に火が灯されますが、ことに12日の籠松明と呼ばれる巨大な松明の炎が回廊を駆け抜ける光景は圧巻です。
奈良国立博物館の「特別陳列 お水取り」展は、元来秘儀であるこの儀式への理解を促しその魅力を紹介する展覧会です。(2月10日~3月17日)
本展の見どころを、奈良国立博物館学芸部の主任研究員、三田覚之さんにうかがいました。
「東大寺の年中行事として有名な「お水取り」(毎年3月1日~14日)。正しくは「修二会(しゅにえ)」といい、二月堂の本尊に対し、「十一面観音悔過(じゅういちめんかんのんけか)」という法会(ほうえ)を行うものです。
これは一年の内に起きた過ちを懺悔し、あわせて除禍招福を祈るもので、天平勝宝四年(752)に実忠和尚(じっちゅうかしょう)によって始められて以来、一度も途絶えることなく今日まで行われてきました。
お水取りの期間をはさんで行われる本展では、この法会で実際に使われてきた香水杓(こうずいしゃく)や鐃(にょう)と呼ばれる特殊な鈴の他、二月堂縁起や二月堂曼荼羅といった関連作品をご紹介します。
なお、同時開催する東大寺ミュージアムの特集展示「二月堂―修二会を支える法会空間―」を合わせてご観覧頂いた方には、限定の特製散華をプレゼントさせて頂きますので、会場受付にて東大寺ミュージアムの半券をご提示ください」
お水取りに関連する絵画・彫刻・工芸品・考古遺物などが歴史の長さを教えてくれます。会場にぜひ足をお運びください。
【開催要項】
特別陳列 お水取り
会期:2024年2月10日(土)~3月17日(日)
会場:奈良国立博物館 西新館
住所:奈良県奈良市登大路町50
電話:050・5542・8600(ハローダイヤル)
博物館公式サイト:https://www.narahaku.go.jp
開館時間:9時30分~17時(入館は閉館30分前まで)
※東大寺二月堂のお水取り期間(3月1日~14日)のうち、3月12日(籠松明の日)は19時まで、その他の日は18時まで開館。
休館日:2月13日(火)・19日(月)・26日(月)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝