金屏風は主に金箔を押して画面を飾り、空間を晴れやかに演出する調度品です。室町時代から幕末に至るまで、諸外国の王に「日本美術の花形」として進呈されてきました。

初期の段階では白雲母の下地に金・銀を組み合わせ、複雑に画面を装っていました。室町時代終わり頃から狩野派を中心に、金雲を効果的に配した豪華な屏風を作るようになり、桃山時代に大きく発展します。江戸時代初期になると俵屋宗達、尾形光琳ほか様々な画家によりさらに洗練されていきました。

尾形光琳「雪松群禽図屏風」(部分) 江戸時代前期 18世紀初期 岡田美術館蔵

岡田美術館の「金屏風の祭典 -黄金の世界へようこそ-」は、金屏風の多種多様な表現を鑑賞できる展覧会です。(12月17日~2024年6月2日)

本展の見どころを、岡田美術館の主任学芸員、小林優子さんにうかがいました。

「本展は、2019年に好評を博した特別展「金屏風展―狩野派・長谷川派・琳派など―」とは趣向を変え、出品作、展示構成ともに装いを新たに「黄金の世界」へお招きします。

金屏風における金の多種多様な表現に着目し、「金雲」「金銀」「金地」という3つのテーマを設け、当館収蔵のバラエティー豊かな金屏風約30件を展示します。

展示室イメージ

最初の「金雲の間(ま)」では、狩野派が得意とした力強い金雲や、大和絵風の雅やかな金雲などさまざまな金色の雲が巡ります。

「鞍馬・厳島図屏風」(部分) 江戸時代初期 17世紀 岡田美術館蔵

続く「金銀の間」では、銀箔や銀砂子が組み合わされた金屏風が落ち着いた雰囲気を作り出します。

「柳橋水車図屏風」(部分) 江戸時代前期 17世紀 岡田美術館蔵

一転、「金地の間」では金箔におおわれた総金地の屏風が光沢を放ち、「光琳風」や「近代の屏風」のコーナーへと展開します。当館でも人気の高い尾形光琳「菊図屏風」「雪松群禽図屏風」がここでは展示されます。

尾形光琳「菊図屏風」(部分) 江戸時代前期 18世紀初期 岡田美術館蔵

そして最後に、2023年5月に岡田美術館10周年記念として行われた、金屏風の伝統を現代につなぐ日本画家・福井江太郎氏によるライブペインティングの作品「楽」が、お披露目となります。

金屏風のみで埋め尽くされた展示室は圧巻です。次々と展開される黄金の回廊をお楽しみください」

煌めきを放つ約30件の金屏風に目を奪われます。会場でじっくりご堪能ください。

【開催要項】
金屛風の祭典 -黄金の世界へようこそ-
会期:2023年12月17日(日)~2024年6月2日(日)
会場:岡田美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1
電話:0460・87・3931(代表)
公式サイト:https://www.okada-museum.com
開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:2023年12月31日(日)、2024年1月1日(月)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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