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扇風機や冷房のない江戸時代の夏は、団扇や扇で風を送り、すだれや葭簀、涼し気な植物を配するなどの工夫で暑さを凌いでいました。

尾形光琳 宇治橋図団扇 江戸中期 細見美術館蔵

琳派の創始者、俵屋宗達(生没年不詳、江戸前期に活躍)は扇絵などを制作する「絵屋」を営んでいました。扇絵は言わば宗達工房の主力商品であり、その独創的な意匠は後に屛風などの大画面に明快な画風を展開する原点ともなりました。宗達以降の琳派絵師たちも扇絵や団扇絵を積極的に手掛け、デザイン性の高い身近な調度として親しまれました。

本阿弥光悦:書 俵屋宗達:下絵 萩薄下絵和歌書扇面 江戸前期 細見美術館蔵

細見美術館の「琳派展23 琳派の扇絵と涼の美」は琳派の絵師たちによるデザイン性の高い調度を紹介する展覧会です。(6月10日~8月20日)

本展の見どころを、細見美術館の主任学芸員、福井麻純さんにうかがいました。

「本展では、俵屋宗達の扇絵、尾形光琳の団扇絵のほか、中村芳中、酒井抱一、神坂雪佳の扇絵などを展示します。特殊な形の画面に対し、さまざまなモチーフを扱いながらその配置や配色、筆遣いなどに工夫を凝らした絵師たちの豊かな表現をお楽しみください。

酒井抱一 扇面貼交屏風(右隻・部分)江戸後期 細見美術館蔵

個人的なおすすめは、たらし込みを多用したおおらかな画風が特徴の芳中です。草花を画面いっぱいに描いた扇絵を多数ご覧いただける機会となっています。

中村芳中 扇面画帖より「立葵」江戸後期 細見美術館蔵

あわせて夏秋の草花を描いた屛風や掛軸も展示します。琳派は立葵や朝顔、向日葵など従来のやまと絵ではあまり取り上げられなかった草花も描いており、その爽やかな画面は、凌ぎ難い夏の暮らしに一風の涼味をもたらしました。

俵屋宗理 朝顔図
江戸後期
細見美術館蔵
神坂雪佳 秋草図扇子 大正前期 細見美術館蔵

また、初秋の風趣を描く秋草図も季節を先取りし、夏座敷の涼やかな演出に用いられました。中でも江戸琳派の絵師は、朝顔や葛など蔓を伸ばす植物の曲線的な美しさを印象的に描いています。

暑い夏のひととき、琳派の涼の美に触れ、爽やかな気分になっていただけましたら幸いです」

渡辺始興 簾に秋月図 江戸中期 細見美術館蔵

クオリティの高い扇や団扇が並び涼感を誘います。ぜひ会場でご堪能ください。

【開催要項】
琳派展23 琳派の扇絵と涼の美
会期:2023年6月10日(土)~8月20日(日)※会期中一部展示替えあり
会場:細見美術館
住所:京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
電話:075・752・5555(代表)
公式サイト:http://www.emuseum.or.jp
開館時間:10時から17時まで(入館は16時30分まで)
休館日:毎週⽉曜⽇(祝⽇の場合、翌⽕曜⽇)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 


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