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丹波栗や丹波黒豆の産地として有名な丹波篠山。この地が誇るもうひとつの名物が丹波焼です。

丹波焼は平安時代から作られており、正式には丹波立杭焼といい、瀬戸・常滑・信楽・越前・備前と並ぶ「日本六古窯」のひとつに挙げられています。

『丹波の茶道具 茶の湯を彩る兵庫のやきもの』は生活用具から出発した丹波焼が、新たに茶道具に取り組んだ歴史を名物の茶道具とともに紹介する展覧会です(3月18日~5月28日まで)。

丹波「茶碗 銘 朝路野」(ちゃわん めい あさじの)
江戸時代前期(17世紀)
丹波古陶館蔵

本展の見どころを、兵庫陶芸美術館学芸課の萩原英子さんにうかがいました。

「中世を通じて無釉の焼締陶器の生産に終始した丹波焼は、近世をむかえると新たな展開を見せます。赤土部や灰釉などの装飾技法で器面を彩り、文化や経済の中心地である上方に向けたやきものを生産していきます。こうした地域で茶の湯が流行すると、他の産地と同様に丹波でも茶道具を作り始めます。水指や花入、茶入や茶碗など、趣向を凝らした茶陶とともに、茶葉を入れる「葉茶壺」が数多く生み出されました。

丹波「灰釉手桶形水指」(かいゆうておけがたみずさし)
江戸時代前期(17世紀)
兵庫陶芸美術館蔵
丹波「茶入 銘 山櫻」(ちゃいれ めい やまざくら)
江戸時代前期(17世紀)
泉屋博古館東京蔵

丹波の茶道具には、工具で素朴な文様を施したものや端正な形状のもの、やきものではない別の素材で作られた茶道具の姿形を模したものなど、当時の茶人の流行や好みが反映されています。また、暮らしの中で使うために作られたものが茶の湯に適した道具として茶人に取り上げられ、茶道具に見立てられたものもあります。

丹波「灰釉四耳壺」(かいゆうしじこ)
江戸時代前期(17世紀)
兵庫陶芸美術館蔵

本展では、各時代の茶人に大切にされ、今日まで受け継がれてきた丹波の茶道具の魅力に迫ります。加えて、当館の所蔵品を中心に兵庫県で生み出された様々なやきものを取り合わせて、展示室内に濃茶の席、薄茶の席、懐石の席をそれぞれ再現します。丹波で活躍する現代作家の作品も含め、各産地で作られたやきものの茶道具を通して、茶の湯文化の一端を紹介します」

茶道具の取り合わせ[図版右から]
王地山 「染付祥瑞写水指」(そめつけしょんずいうつしみずさし)
江戸時代後期(19世紀) 兵庫陶芸美術館蔵
珉平 「色絵海老文茶碗」(いろええびもんちゃわん)
江戸時代後期~明治時代前期(19世紀)
兵庫陶芸美術館(田中寛コレクション)蔵
二代 市野信水 「土風炉」(どぶろ)平成17年(2005年) 個人蔵
淡陶社 「伊羅保写茶碗」(いらぼうつしちゃわん)
明治時代~大正時代(19世紀~20世紀) 兵庫陶芸美術館蔵

丹波焼特有の美しさに彩られた名品が並びます。ぜひ会場に足をお運びください。

【開催要項】
特別展「丹波の茶道具 茶の湯を彩る兵庫のやきもの」
会期:2023年3月18日(土)~5月28日(日)
会場:兵庫陶芸美術館 展示棟 展示室1・2・4・5
住所:兵庫県丹波篠山市今田町上立杭4
電話:079・597・3961
公式サイト:https://www.mcart.jp
開館時間:10時から18時まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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