取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った有香さん(仮名・37歳)は33歳のときに2歳上の男性と結婚。現在は都内で子どもとの3人暮らしをしています。妊娠、結婚を機に退職してフリーランスで働き始めますが、働き始めて4か月ほどで正社員のときの給料を超えるほど稼いでいたそう。
「正社員のときの給料が安かったというのもありますが、妊婦ということで取引先の方々はスケジュールに余裕のあるお仕事を振ってくださっていました。それに私は悪阻も一時的なもので妊娠中に特に体調不良もなかったんです。家でゆっくりしながら自分のペースで仕事ができて、さらには給料もアップした。変な話ですけど、結婚、妊娠と家庭に入るような環境になったのに、仕事がどんどん楽しくなっていったんです」
産後うつ状態から夫婦で話し合い、夫が兼業主夫に
有香さんは出産後も仕事を続けたい思いがあったものの、子育てが忙しく思うように仕事ができなくなったことにストレスを感じるように。子どものこともかわいく思えないようになり、そんな自分を責め続けた日々が続いたと言います。
「私、仕事を始めてから早々に結婚した学生時代の友人とは疎遠になっていて、友人は仕事関係の人しかいなかったんです。その理由は、私が仕事第一に考えていたときに家庭の相談を持ちかけてくる友人が鬱陶しかったから。そんな思いが自分の中にあるから、仕事している友人たちに子育ての悩みは相談できませんでした。
それによく面倒を見に来てくれた義母に愚痴を吐けるわけもなく気をつかうだけ、母親にはイライラをぶつけてしまってよけい自己嫌悪になる。子どもをかわいく思えないなんておかしいってどんどん自分を責めていきました」
そんな様子を見かねた旦那さまと話し合いをして、「子どもをかわいく思えない」「仕事をしていたほうが楽しかった」と正直に打ち明けたそう。最終的に夫婦は子育ての交代を決めます。
「夫もプライドを持って働いている人だったから、苦渋の選択だったと思います。お金の管理は私がしていたけれど、月の収支は報告していたので私の収入のほうが一時は多かったことも夫は知っていて、『有香が大黒柱になっても問題ないし』と言っていました。
そこから夫は子育てメインのフリーランスになって、私はフリーのままひとまず継続で仕事をもらっていたところと話をさせてもらって、業務委託契約を数社で結ばせてもらえました」
【否定の言葉を吐き続けた義両親に影響されていく夫。次ページに続きます】