取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った有香さん(仮名・37歳)は33歳のときに2歳上の男性と結婚。現在は都内で子どもとの3人暮らしをしています。結婚してからしばらくはうまくいっていた夫婦関係は義両親のせいで微妙な関係になってしまったと言います。
「義両親の口出しのせいで夫はプライドがズタズタになり、今はよく自室に引きこもってしまうようになりました。なぜあんなに自分の考えが正しいと思えるのか、義両親には考えの柔軟性がまったくないのです」
スーツを着て仕事に行く母親の姿をかっこいいと思っていた
有香さんは神奈川県出身で、両親と3歳上に兄のいる4人家族。母親は一時子育てのために仕事を離れていた時期があるものの、有香さんが覚えている母親の姿はビシッとしたスーツ姿でした。
「兄妹のご飯を用意して、私たちよりも早く家を出る母親の姿を覚えています。帰りは晩御飯の頃にはいたから18時前後だったんじゃないかな。働きながらも家事も子育ても完璧にこなし、PTAの会長までやっていた母親を私はずっとかっこいいと思っていました。
父親は休みの日には料理を作ったり、私たち兄妹を1人で遊びに連れて行ってくれたりと今振り返ると母親が仕事を続けることに協力していたと思います。両親は今でも仲良しで、母親は数年前に仕事は引退したのですが、共働きを続けたことで貯えも多いのか、コロナ禍前は毎年のように海外旅行に出かけていました」
そんな母親が唯一苦手にしていたのが親戚付き合い。都会出身の母親は田舎出身の父親の親族付き合いについていけず、親族が集合したときに一切休まずに働き続ける母親の姿を「かわいそうだった」と振り返ります。
「両親は都会で知り合って結婚したけれど、父の実家は北関東の田舎にあって、年末やお盆などは大広間から溢れるぐらい人が集まります。私は同世代の子どもたちが集まって騒ぐだけなのでそれなりに楽しかったのですが、私の母と父の弟の妻である伯母さんはずっと働いていました。言い方は悪いですが召し使いのように。
私も手伝ってはいたんですが、その度に『いいお嫁さんになりそうね』と言われて、その言葉に嫌悪感がありました。これがいい嫁の条件なら、結婚なんて願い下げだって。私は結婚願望があまりなかったのですが、もしかしたらこのせいかもしれません」
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