正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第100回は「遊説」をご紹介します。選挙のニュースなどで「政治家が各地で演説する」という言い回しを、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「遊説」はなんと読む?
「遊説」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「ゆうぜつ」と読んでしまいそうですが……
正解は……
「ゆうぜい」です。
『小学館デジタル大辞泉』では「意見や主張を説いて歩く事。特に、政治家が各地を演説して回ること」と説明されています。「地方を遊説する」などの使い方が一般的です。
さんずいがついた「游」を用いて「游説」とも書きます。
「遊説」の漢字の由来とは?
「遊説」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。
「遊」は「自説を説いてまわる」という意味です。ここでは「遊ぶこと」ではなく、「歩いて回ること」を指しています。そして「説」は「とく、さとす、言いきかす」という意味です。なお「説」という字は「演説」や「説明」など、「せつ」という音読みが一般的ですが、自分の意見に従わせるため話をするという文脈の場合は「ぜい」という音になります。
本来「遊説」は、古代中国で、領土を支配する各地の諸侯を訪ね、考えを説いて歩き回ることを意味する言葉でした。そこから転じて日本では「政治家が各地を演説して回る」という意味で「遊説」を使うようになったとされています。
「遊」を使った難読漢字「口遊む」の読み方は?
「遊説」では「説」の読み方が難所となりましたが、「遊」にも難しい読み方があります。そこで最後に、「遊」を使った難読漢字をご紹介します。それは「口遊む」です。読み方に心当たりはありますか?
正解は「くちずさむ」です。「遊」という字は「すさぶ」とも読み、この場合「心のおもむくままにする」という意味になります。古語に由来するため、あまり「遊」という漢字と結びつかないかもしれません。
「遊説」の「遊」とは意味が異なりますが、漢字一文字でも文脈によって、込められた意味が変化することがわかります。
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いかがでしたか? 今回の「遊説」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 6月22日には参院選の公示日を迎えます。実際に、候補者らが「遊説」する姿を目にするかもしれません。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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