文/中村康宏、内本菜穂
疲れやすく体がだるい、頭痛がひどい、体が浮腫むなど、すぐに病院へ行くほどの症状ではないがなんとなくすぐれない日が続いているという事はないでしょうか。
実はその症状、「隠れ貧血」が原因かもしれません。
今回は、様々な不定愁訴の原因ともなりうる貧血に関して解説していきます。
隠れ貧血とは
貧血で最も多いのが、鉄が不足することによってヘモグロビンが減少し、酸素を体中に運搬できずに起こる鉄欠乏性貧血です。
通常、鉄が不足したら体内の貯蔵鉄を使って貧血を回避しようと働きますが、隠れ貧血の場合、その貯蔵鉄が不足している為、放置すれば貧血になってしまう状態を言います。(潜在性鉄欠乏)
通常の血液検査では貧血とは診断されない為、見落とされやすいのです。
隠れ貧血の検査とセルフチェック
隠れ貧血かどうかを確かめるには、一般的な検査で調べられるヘモグロビン濃度(貧血の有無と程度)以外にも、血清鉄(血液中の鉄濃度)やフェリチン(骨髄や肝臓に蓄えられた貯蔵鉄の総量)の検査も必要となります。
まずは、隠れ貧血に多い症状から、ご自身に当てはまるものをチェックし、当てはまる項目が多い場合は一度医療機関で検査を受けてみるのも良いでしょう。
《隠れ貧血セルフチェック》
□ 健康診断では問題ないのに疲れやすく体調が優れない日が多い
□ 頭痛がする
□ なんとなくやる気が出ず気分が沈みがち
□ 階段を登ると息切れがする
□ 肩、首筋が凝りやすい
□ 顔色や爪、粘膜が青白い
□ 髪の毛のハリがなく抜けやすい
□ 立ちくらみやフラフラする
□ 体の浮腫みや冷えが気になる
隠れ貧血の治療や予防
医療機関で検査し、鉄が不足していると判明した場合、鉄剤の内服薬が処方されます。
薬に抵抗がある場合は、まずはサプリメントから試してみても良いでしょう。
薬やサプリメントを3ヶ月程服用し、フェリチンを測定して貯蔵鉄の回復を確認します。
また、食事から鉄分を摂取し、貧血になりにくい状態が維持できるように食習慣を変える事も意識していきましょう。
(1)体内で吸収されやすい「ヘム鉄」を含む、赤身の肉や魚を1日1回摂るようにする。
(2)体内で吸収されにくい「非ヘム鉄」を含む、ひじきや小松菜などは、吸収を良くするため、たんぱく質やビタミンCと一緒に摂る。
(3)体内での鉄の吸収を阻害するカフェインやタンニン(コーヒーや紅茶、赤ワイン等に含まれる)は食事と一緒に摂らないように気をつける。
* * *
貧血を予防するには、バランスの良い食事を摂り、過度なダイエットは控える事も大切です。
鉄の不足に気を付ける事で疲れにくい体を作り、日々を快活に過ごしましょう。
文/中村康宏
医師。虎ノ門中村クリニック院長。アメリカ公衆衛生学修士。関西医科大学卒業後、虎の門病院で勤務。予防の必要性を痛感し、アメリカ・ニューヨークへ留学。予防サービスが充実したクリニック等での研修を通して予防医療の最前線を学ぶ。また、米大学院で予防医療の研究に従事。同公衆衛生修士課程修了。帰国後、日本初のアメリカ抗加齢学会施設認定を受けた「虎の門中村康宏クリニック」にて院長。一般内科診療から健康増進・アンチエイジング医療までの幅広い医療を、予防的観点から提供している。近著に「HEALTH LITERACY NYセレブたちがパフォーマンスを最大に上げるためにやっていること」(主婦の友社刊)がある。
【クリニック情報】
虎の門中村クリニック
ホームページ:https://toranyc.com
住所:東京都港区虎ノ門3丁目10-4 虎ノ門ガーデン103
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