日本六古窯に数えられ、約千年の歴史を持つ備前焼は、「焼き締め」と呼ばれる釉薬を掛けずに高温で焼かれた焼きものだ。「水が腐らぬ」と言われるほど通気性がよく、古くから水甕や茶壺に用いられてきた。その特性を家庭に取り入れられるよう、備前焼の窯元である「五郎辺衛窯」の当代・武用務氏が作り出したのが本品だ。
弱酸性の水道水をこのピッチャーに入れると、ひと晩で弱アルカリ性のイオン水に変化。カルキ臭が消えて喉ごしがよくなる。その仕組みを武用氏はこう説く。
「還元炎で焚いた際に酸素不足の状態になる備前焼ピッチャーは、入れた水から酸素を奪おうとします。そうすると水の分子が細分化され、水がまろやかになり、体にも浸透しやすくなるようです」
形状で重視したのは持ちやすさ。面取りを施し、親指を添える窪みを付けることで、しっかりと持てるように設計。極力薄く仕上げているため、重厚な見た目とは裏腹に軽量なのもうれしい。
カップは下部をすぼませたフォルムが特徴で、手が大きい人は上部、小さい人は下部を持てばフィットするように考えられている。
ピッチャーは、冷蔵庫のドアポケットに収まるサイズで使い勝手もよし。武用氏のモットー「使って頼りになるもの作り」を体現した逸品である。
【今日の逸品】
備前焼面取ピッチャー&マルチカップ
五郎辺衛窯
12,100円(消費税込み)