●教える人 藤井まりさん(料理研究家・74歳)
精進料理は、鎌倉時代に中国人の禅僧たちが日本にもたらした。いまでも禅寺の修行僧の食事は、精進料理を基本とする。
体力がつくのかと気になるが、植物性の蛋白質や脂肪分を含んだ食材を使い、肉食よりも身体にはいいという。
それでもたまには肉食がしたい。その要望に応えて「もどき料理」(「見立て料理」ともいう)が発展した。植物性の材料を使って、ステーキや鰻の蒲焼を作ってしまう。食事をしながら素材を当てる楽しみもある。
『鎌倉不識庵』の藤井まりさんは、精進料理を専門とした料理教室を開いている。
建長寺で広がった建長汁(けんちんじる)は、本来「捲繊」と書く。材料を乱切りにし、油で炒め、醤油で下味をつけ、さらに炒める。
たたき牛蒡、蓮根の梅酢漬けは、正月のお節料理にも喜ばれる。
藤井さん得意の「もどき料理」のひとつが「だし巻風寄せ豆腐」だ。完成品を見ると、普段目にするだし巻きと全く変わらない。その極意を下記にて公開しよう。
精進料理の醍醐味・「もどき料理」を作る
だし巻風寄せ豆腐
完成
●鎌倉不識庵(ふしきあん)
※この記事は『サライ』本誌2022年1月号より転載しました。