精進料理の基本4品。下から時計回りに、だし巻風寄せ豆腐、たたき牛蒡、蓮根の梅酢漬け、建長汁(けんちんじる)。素材の持ち味をそのまま生かし「淡味 」(薄味ではない)を味わう。

●教える人 藤井まりさん(料理研究家・74歳)

昭和22年、北海道生まれ。典座(禅宗寺院の料理係)だった夫の故・藤井宗哲さんと精進料理を研究。自宅の『鎌倉不識庵』をはじめ国内外各地で精進料理の講習会を開催。

精進料理は、鎌倉時代に中国人の禅僧たちが日本にもたらした。いまでも禅寺の修行僧の食事は、精進料理を基本とする。

体力がつくのかと気になるが、植物性の蛋白質や脂肪分を含んだ食材を使い、肉食よりも身体にはいいという。

それでもたまには肉食がしたい。その要望に応えて「もどき料理」(「見立て料理」ともいう)が発展した。植物性の材料を使って、ステーキや鰻の蒲焼を作ってしまう。食事をしながら素材を当てる楽しみもある。

『鎌倉不識庵』の藤井まりさんは、精進料理を専門とした料理教室を開いている。

建長寺で広がった建長汁(けんちんじる)は、本来「捲繊」と書く。材料を乱切りにし、油で炒め、醤油で下味をつけ、さらに炒める。

たたき牛蒡、蓮根の梅酢漬けは、正月のお節料理にも喜ばれる。

藤井さん得意の「もどき料理」のひとつが「だし巻風寄せ豆腐」だ。完成品を見ると、普段目にするだし巻きと全く変わらない。その極意を下記にて公開しよう。


精進料理の醍醐味・「もどき料理」を作る

だし巻風寄せ豆腐

材料(4人分):木綿豆腐210~240g、大和いも80g、合わせ味噌大さじ3、カレー粉少々。合わせ調味料:醤油小さじ1、塩小さじ1/2。「もどき料理」なので生卵は使わない。
1.水切りした豆腐と大和いもをすり合わせる。水で溶いたカレー粉、醤油、塩を加えよく混ぜる。
2.アルミホイルに1を細長くのせ棒状に包む。両端を強くしごいて空気を抜く。
3.巻きすで形を整え30~40分蒸す。蒸し上がったら、そのまま自然に冷まして切り分ける

完成

●鎌倉不識庵(ふしきあん)

鎌倉市稲村ガ崎3-12-25
電話:0467・24・3462
※完全予約制。料理教室に関する情報は電話、ホームページなどでご確認ください。
交通:江ノ島電鉄稲村ヶ崎駅より徒歩約10分
http://kamakurafushikian.com/
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※この記事は『サライ』本誌2022年1月号より転載しました。

 

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