和の食材を用いて仕上げる中華は洗練の極み
北条政子ゆかりの寿福寺にほど近い、閑静な住宅街に佇む戸建ての古民家を改装した『イチリン ハナレ』。平成29年の開業以来、地元のみならず、遠方からも足繁く通う人が多く、予約の取りづらい店となっている。
根底にあるのは中華だが、和の食材を巧みに使ったその料理は、中華や和食といった枠を忘れさせる『イチリン ハナレ』だけの味。
例えば、コース料理の中に組み込まれている「よだれ鶏三段活用」。その名の通り、3段階に分けて楽しむことができる料理だ。ピーナッツ、カシューナッツ、ゴマなどを加えた濃厚なタレは、滋味深い丹波篠山(たんばささやま)の高坂鶏(たかさかどり)を堪能した後も、タレを味わうために皮を厚めにした餃子や、香り高い四川山椒麺でさらに変化を感じながら楽しむことができる。遊び心も旨味と妙味に変えてしまう、それが『イチリン ハナレ』の醍醐味だ。
●イチリン ハナレ
※この記事は『サライ』本誌2022年1月号より転載しました。