取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った渚さん(仮名・41歳)は25歳のときに結婚して、現在は旦那さまと子どもとの三人暮らしをしています。渚さんを家の所有物のように扱う義両親のことは初対面のときから違和感があったとか。
「今時、結婚したからといって相手の家に入るという感覚は古いと思う方が多いかもしれませんが、私の世代では家のことをあまり気にしないでいいという人もいれば、嫁入りという感覚を持ったままの人もいるといった移行期ぐらいだと思います。義両親はまさに後者の考え方だったんですが、ここまで極端だとは……」
やりたいことを応援してくれる両親だった
渚さんは兵庫県出身で、両親との3歳下に弟のいる4人家族。家族仲はとても良くて、男女が度々逆転するような夫婦だったと両親のことを語ります。
「母親は豪快で大雑把、父親は繊細で気遣い屋といった感じです。とても面と向かっては言えないですけど、母親は料理も掃除も上手じゃありませんでした(苦笑)。でもそれをフォローするかのように父親は料理上手できれい好き。私の家庭の味は父親が作るお魚の煮物でした。
私は兵庫県なので震災を経験しているんですが、あの状況で一番しっかりしていたのは父親ではなく母親でした。電車が何も動かないときに身動きがとれるようにとすぐに原付バイクを購入したり、学校がしばらく休みになるとわかると私たち子どもを祖父母のところに預けたりと、判断が早くて。一方の父は、オロオロしていました(苦笑)。両親はお互いの足りないものを補い合えるとてもいい夫婦だと思います」
そんな両親は渚さんの主体性を尊重して、進路などは自由にさせてくれていたと言います。
「やりたいことを応援してくれるような両親でしたね。私の成績ではもう少し上の高校に行けたんですが、受験勉強も嫌だったし、中学で一番仲が良かった子が行くという高校が家からも近かったこともあり進路を安易に決めていたんです。そんな私を心配してなのか三者面談で先生が『もっと上位を狙うべきです』みたいなことを言われたんですが、母親は『この子が行きたいと言っている高校なので』とバッサリ。そのときの母親がとてもカッコよくて今でもはっきり覚えているんですよね。私も子どもができたらこんなお母さんになりたいなって思いました」
【私は夫の8歳下。「若さ」だけを義両親は褒めてくれた。次ページに続きます】