取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った、慶子さん(仮名・43歳)は、27歳のときに結婚して、現在は中学生になる娘さんとの3人で暮らしています。その娘さんと旦那さまの関係がうまくいかず、その関係について義母が口を出してくることに悩んでいると言います。
「娘と夫がうまくいかないことは全部私のせいにされます。義両親は夫の味方になり、孫に強く言えないので、その矛先がすべて私にきている状態です」
父親と何かを一緒にした記憶はない
慶子さんは神奈川県出身で、両親と3歳上に姉のいる4人家族。父親は仕事が忙しく、小さい頃の記憶はほぼなし。子育てはすべて母親が担当していたそう。
「小さい頃の父親に対しての記憶が残ってないんです。いつも晩ご飯の時間にも帰ってきていなかったし、朝も私たちが起きる前に家を出ていました。休みの日もあったはずなのに、一緒に遊んだ記憶がなくて。夏休みなどに祖父母の家に行っていたときは父が車で送り迎えをしてくれていましたが、一緒に過ごした記憶はありません。父親は今でも口数の少ない人で、当時から私たちの成績や生活態度に対して何かを言うこともありませんでしたから。
一方の母親はすごく口うるさくて、よく怒られていましたね。成績などというよりも、姿勢とか挨拶などの一般常識で怒られていたことが多かったです」
慶子さんと家族の関係よりも、両親の夫婦関係や姉と母親の関係があまりうまくいっていなかったと振り返ります。
「姉は反抗期がずっと続いていたような感じでした。何かと母親に食って掛かっていて、よく私の目の前でケンカしていましたね。私はそんな姉を見ていることもあり、聞き分けは良かったと思います。
両親はケンカすることはないけど、仲良しなところも見たことなくて、顔を合わせていてもお互いがいない人のような扱いで。もしかして離婚するんじゃないかってずっと心配でした。今も両親は離婚せずに一緒に暮らしているんですが、お互いが空気のような存在です」
【同級生と結婚したことでお互いの実家が近い距離に。次ページに続きます】