取材・文/ふじのあやこ

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。

今回お話を伺った、礼奈さん(仮名・38歳)は、短大時代にアルバイト先で知り合った男性と28歳の時に結婚。現在は大阪府内で2人のお子さんとの4人暮らしをしています。結婚する前も後も旦那さまとの関係は良好も、悩んでいるのは義父との関係だと言います。

「義父は昔気質というか、今ドキその考えはどうなのかと思うほど昔を引きずっている。家では優しい夫も義父には逆らえないようで、本人には何も言ってくれません。義母は家政婦みたいな扱いを受けているように、私からは見えてしまうのです」

明るくて料理好きな母親を中心に集まっていた家族。母亡き後も支え合って生きてきた

礼奈さんは京都府出身で、両親と5歳上に兄、2歳上に姉のいる5人家族。両親の仲も良好で、家族のことを管理していたのは母親。仕事が忙しい父親が家族を構うことができない分、母親が3人もいる子どもをしっかりと育ててくれたと振り返ります。

「覚えているのは、母親がお菓子作りとかが好きで姉とよく3人で作っていたこと。ホットケーキミックス粉を使ったり、寒天を使ったりして色んなものを作りましたね。小学校の頃はおやつを一緒に作っていた時期があったんですよ。いつかは覚えていないんですが、ホットケーキをフライパンでひっくり返す時にコンロの上に落として、コンロをベチャベチャにしたこと。母親は大爆笑だったんですが、その後キレイに掃除をさせられたことを覚えています(苦笑)」

そんな楽しかった思い出は、突然、短大生の時に途切れたそう。母親に病気が見つかり、発覚から1年に満たずに帰らぬ人となってしまったと言います。

「病気が発覚してから、あまり悲しむ時間もありませんでした。専業主婦だったからずっと健診を受けていなくて、調子が悪いと病院に行った時にはもう……、末期がんでした。母親は食べるのが大好きだったので太っていたんですが、病はこんなにすぐに体重を奪ってしまうものなんだなって思ったほど。葬儀の記憶もあまり残っていなくて、本当に役立たずで何もできませんでした。その後に思ったのは兄妹がいてくれて良かったということ。小さい頃はよくケンカをして、末っ子だったからもちろん勝てなくて、兄や姉のことを邪魔だなって思ったこともたくさんあったけど、気丈に振る舞う父親の側に兄が、姉は私とずっと一緒にいてくれたことを覚えています」

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