簡単なようで、食感や味わい、形、調理法など、実は個性的な楽しみ方が提案されている日本のプリン。ここでは、老舗から注目の新店まで、全国各地で話題となっている名店の味を厳選して紹介する。
美しさを追求したパフェの層
和光アネックス ティーサロン(銀座)
昨秋、登場した「銀座 プリン・ア・ラ・モード」はグラスに映える緻密な層が美しい。中央に見えるカスタードプリンは、牛乳、全卵、卵黄、生クリームなどを使った固めのプリン。また、グラス下部には牛乳と生クリームにバニラを加えた、なめらかなバニラプリンが隠れている。味も食感も異なるふたつのプリンが同時に楽しめるとあって、人気が続く。
グランシェフ パティシエ兼シェフ ショコラティエの小熊亮平さん(39歳)は、商品開発の経緯についてこう語る。
「お店では旬のフルーツパフェが人気でしたが、2か月ごとに替わるので、皆が好きなプリンを使った通年メニューをと考案しました」
多彩なバニラが楽しめる
カスタードプリンは、卵の風味と昔ながらのしっかりした食感を出せるように調整。一方のバニラプリンはバニラのさやまで粉砕して混ぜたバニラペーストに、さらにバニラリキュールで香り付けをしてバニラの味を強調している。
さらに、バニラアイスクリームも添えて、多彩なバニラの風味が楽しめる仕掛けとなっている。
苦めのカラメルは一緒に焼き上げるだけでなく、提供する直前にも追加でかけ、これが全体の甘さとのバランスを取っている。ベリー類など7種類のフルーツの酸味や甘み、食べ進めるとサクサクしたフィアンティーヌ(クレープ生地を薄く延ばして焼き、細かく砕いたもの)やカスタードクリームなど、次々に別の味わいと食感に出会える。これらを楽しみながら、一番下にあるバニラプリンに到達する構成だ。
「全体的にボリュームがあるので、底のバニラプリンはとくにさっぱりした味つけです」(小熊さん)
和光アネックス ティーサロン
東京都中央区銀座4-4-8 2階 電話:03・5250・3100 営業時間:10時30分~19時(最終注文)、日曜・祝日10時30分〜18時30分(最終注文)ケーキ&チョコレートショップ 1階 10時30分〜19時30分(日曜・祝日は19時)定休日:無休 交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅下車、徒歩約1分
取材・文/飯島千代子 撮影/山下亮一、高嶋克郎、鈴木暁