カッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらなかったり、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調があらわれることがあります。
実は、そんな不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか? 私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第63回のテーマは、「肌荒れ」です。医師の木村眞樹子さんに教えてもらいました。
1.人に会いたくない! 精神的にもつらい肌荒れの悩み
美和さん 46歳女性 主婦の方からご質問を頂きました。
「このところ急な肌荒れに困っています。突然、今まで使っていた化粧水や乳液などで、皮膚がかぶれるようになりました。一時は顔じゅうが赤くただれてしまい、メイクもできないほど。
ひどいかぶれは一時的におさまったものの、マスクの素材によっては、またかぶれてしまうし、摩擦による乾燥でカサカサです。
自分の肌に合う化粧品を見つけるのも一苦労です。顔のかぶれがひどいときは、子どもに『痛々しい』、『妖怪みたい』などと言われて精神的にもショックでした。
メイクもしにくいので、外に出て人に会うのも嫌な気持ちになります。突然の敏感肌の症状は更年期と関係がありますか?」
ご質問ありがとうございます。肌荒れはただでさえ気になるのに、原因がよくわからないと余計に不安になってしまいますよね。美和さんはお子さんにまで指摘されて、かなりつらいご様子です。
美和さんのおっしゃるように、肌荒れも更年期症状のひとつです。その原因と、簡単に行えるセルフケアをご紹介します。
2.肌荒れの原因は更年期の女性ホルモンの乱れ
肌荒れの原因のひとつに、更年期の女性ホルモンの乱れが挙げられます。
一般的に45~55歳、閉経前後合わせて10年くらいを更年期と呼びます。この時期に女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急激に低下してしまい、様々な影響が出てくるのが更年期症状です。
エストロゲンは、皮膚の角質層にあるセラミド(潤いを保つ成分)や、表皮の下の真皮層にあるコラーゲン、ヒアルロン酸(肌を支える成分)の生成にも関わっています。
エストロゲンが低下することによって、美肌維持に重要なセラミドやコラーゲン、ヒアルロン酸の量が減少します。すると、肌が乾燥した状態になってしまい、肌荒れやかぶれのようなトラブルも起きやすくなるのです。
また、老化により細胞が酸化することで真皮のハリがなくなり、弾力のない皮膚になってしまいます。紫外線や喫煙などの外部要因も肌の酸化の原因といわれており、肌に負担をかけるのです。
では、更年期の肌荒れを改善する普段のセルフケア方法についてご紹介していきます。
3.肌荒れを改善する3つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、以下のようなセルフケアや漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.普段の肌ケアを見直す
間違ったケアは肌荒れの原因になります。まず、基本は洗い過ぎないこと。若い頃とは違い、肌の水分・油分が少なくなっているので、同じ洗顔方法ではカサカサになってしまいます。
また、肌のバリアを壊さないように、擦りすぎないことも大事です。必要以上の洗顔は避けましょう。
さらに、化粧品などを塗り過ぎないことも肝心です。クリームやオイルも、肌にとっては異物です。量を多くし過ぎると、それだけ肌にも負担がかかってしまいます。自分の肌に合うことを基準に化粧品を選ぶことも大切です。
3-2.肌によい食事を心がける
食事内容を改善すれば肌の調子もうまくコントロールすることができます。肌によくて美味しいものを賢くとり入れることが、食事改善を長続きさせるコツです。おすすめのメニューをご紹介します。
・納豆
大豆イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンに似た働きを持ちます。また、大豆には食物繊維も含まれていて、便秘の予防や、美肌効果も期待できます。
・レバー
レバーに含まれるビタミンB1やB2は皮膚の健康と深い関わりがあり、肌荒れを防いでくれます。ビタミンB群は水溶性なので、体にたまりにくく、毎日の食事から摂る必要があります。
・鮭
鮭は、抗酸化作用があるアスタキサンチンや、肌の健康を保つビタミンAを含みます。高タンパク質で、皮にはコラーゲンが豊富です。
どれも食卓にあげやすいものばかりなので、積極的に摂取して美肌をめざしましょう。
3-3.漢方薬で改善をめざす
「肌荒れを根本から改善したい」
「西洋薬に抵抗があり、できれば使いたくない」
医薬品として、肌荒れ、しみ、アトピーなどの皮膚トラブルに効果が認められている漢方薬は、あなたの強い味方になってくれます。
漢方薬は、植物や鉱物など、天然にあるものを組み合わせて作られています。また、 一般的には西洋薬よりも副作用が少ないともいわれています。
漢方では「皮膚は内臓の鏡」と考えられており、漢方薬を飲むことで、体の中からの根本改善を行います。
また、漢方薬がめざすところは対症療法ではありません。漢方薬は、症状に繰り返し悩んでいる方や、悪循環から抜け出したいという方の思いに応えてくれます。
「徹底した食事制限や丁寧な肌ケアを毎日続けるのは難しい」という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、気軽に続けられます。
以下に、肌荒れに悩む方におすすめの漢方薬をご紹介します。
<肌荒れに悩む方におすすめの漢方薬>
黄連解毒湯(おうれんげどくとう):体力がある方向けです。湿疹や皮膚炎、皮膚のかゆみのほか、イライラや神経症にも用いられる漢方薬です。
漢方薬を選ぶ際には、体質に合ったものを選ばないと、症状の改善が得られないどころか副作用が起きることもあります。適切な漢方薬の選択は漢方に精通した医師や薬剤師にお任せください。
「漢方薬には興味があるが、価格面が気になる」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめです。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
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4.更年期の肌荒れを解決して自信を取り戻そう
更年期の肌荒れは女性ホルモンの分泌低下が関わっていることが多く、今回ご紹介したセルフケアや漢方薬などで対処することができます。
漢方薬は医師や薬剤師に相談のうえ、体に合ったものを使うことが大事です。肌の悩みを改善して女性としての自信を取り戻し、歳を重ねてもきれいな女性をめざしましょう!
<この記事を書いた人>
医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
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