文 /小林幸子
小林幸子の「幸」を招くルール
ファン歴50年以上の方はもとより、若者やネットユーザーからも「ラスボス」と称され、幅広い層に圧倒的な人気を持つ小林幸子さん。小林さんの「今が楽しい、自分らしい人生」をおくるための秘訣とは? 齢を重ねるたび、元気と勇気、パワーを増し続ける、ラスボス流「言葉の魔法」を初披露!
ラスボスは何度も進化する
知識やテクニックだけじゃない。大切なのは“志”が立派かどうか。次々と未知の世界の扉を開けて新たなことに挑む、その原動力はどこにあるのか。そして、進化を重ね続ける秘訣とは?
ルール18
どうしても窮地に陥ると、守りの姿勢といいますか、新しいことに及び腰になります。その気持ちは痛いほどわかります。でも、自称・ピンチの専門家として、あえて厳しいことを言わせていただきます。
ピンチの時ほど、実はチャンス!
だって、これまでの凝り固まった自分から、脱皮できる機会を与えてもらっているんですから。そう、自分を変えるなら“ピンチの時”こそ絶好の機会なんです。
そしてピンチの時こそ、悩んでばかりいないで、意識して思い切って遊ぶべきです。将来の不安なんて、考えたって何も解消されません。
だったら人生は楽しんだもの勝ちでしょ? 繰り返し言ってますが、今、この瞬間を楽しみましょうよ。
だって、遊びを楽しむくらいの余裕があれば、実は窮地も少しラクになるものなんです。
「今度はこうきたか」
なんて次々と襲ってくるピンチを、ジェットコースターに乗っている時のように、少し楽しめてしまうようになるんです。
このスタンス、さだ兄に学んだところがあります。
ご存じの方も多いと思いますが、さだまさしさんは映画『長江』などの製作で35億円もの借金を背負いました。
35億円ですよ? 普通なら大ピンチですよね。
でも、さだ兄から持ち前の明るさが失われることは一切ありませんでした。
いつも何かを楽しんでいるし、思いついた遊びに子どものように夢中になっている。
仕事も人生も楽しんだもの勝ち
なぜそんなに前向きになれるの? とこちらが驚くほどポジティブで、いろんなことに好奇心のアンテナを反応させています。
さだ兄にある時、こう言われたんです。
「幸っちゃん。俺ね、お金はないんだよ。でもね、遊ぶ金は持ってるよ」
すごくいい言葉でしょ?
「大きなお金うんぬんは、もちろんないけれど、でもね、今日遊ぶ金はあるよ。ゴルフ行く、釣りに行く、皆と飲みに行く……。その金はあるんだよ」
最近は借金を完済したので、
「俺ね、最近、小銭持ってるから」
なんて威張ってますけど(笑)。
私は勝手に、さだ兄の言葉を、「余裕がない時こそ、大いに遊べ」ということだと解釈しています。「守り」ではなく「攻め」です。
言い換えるなら、「今を楽しむ」ということでしょう。
遊びといっても、ダラダラと時間を浪費することじゃありません。お金を浪費することでもありません。
遊びこそ真剣に、一生懸命にやる。
真剣にやってると、不思議なもので心も軽やかになるし、いろんなものが見えてきます。
さっきも言ったように、結局、仕事も人生も、楽しんだもの勝ち。
面白がるために時間もお金も惜しまない。そうやって自分に投資していると、それがいつの間にか、自分に返ってくるのではないでしょうか。
一、常に遊ぶ余裕を持っていれば窮地も少しラクになる
一、遊びこそ真剣に一生懸命にやる
小林幸子(こばやしさちこ)
1953年、新潟県生まれ。64年、『ウソツキ鴎』で歌手デビュー。その後、長く低迷期が続いたが、79年、『おもいで酒』が200万枚を超える大ヒットとなり、日本レコード大賞最優秀歌唱賞をはじめ数々の賞を受賞。同年、NHK紅白歌合戦に初出場。以来、34回出場し、その「豪華衣装」が大晦日の風物詩と謳われる。近年は、若者やネットユーザーの間で、「ラスボス」と称されるようになり、ニコニコ動画への「ボカロ曲」の投稿やアニメ『ポケットモンスター』の主題歌を歌うなどして、“神曲”を連発している。
ラスボスの伝言
~小林幸子の「幸」を招く20のルール~