文 /小林幸子
小林幸子の「幸」を招くルール
ファン歴50年以上の方はもとより、若者やネットユーザーからも「ラスボス」と称され、幅広い層に圧倒的な人気を持つ小林幸子さん。
小林さんの「今が楽しい、自分らしい人生」をおくるための秘訣とは?
齢を重ねるたび、元気と勇気、パワーを増し続ける、ラスボス流「言葉の魔法」を初披露!
ラスボスの「仕事の流儀」
知識やテクニックだけじゃない。大切なのは“志”が立派かどうか。次々と未知の世界の扉を開けて新たなことに挑む、その原動力はどこにあるのか。そして、進化を重ね続ける秘訣とは?
ルール05
私がニコニコ動画に出始めたころ、「そんなマイナーな世界でやってどうするんだ」とバカにされることがありました。旧来の考え方から離れられない人にすれば、私の行動は理解できなかったようです。
でも、今となっては、彼らも慌てているんじゃないでしょうか。
バカにしていた人たちの中には、「怖さ」もあったと思うんです。自分の知らないことがある、という不安です。
私だって怖いですよ。知らないことをやる時は。
でもね、恐怖より好奇心のほうが勝るんです。
もしやってみてうまくいかなかったら? その時はスパッとやめればいいだけ。途中でやめたって、何も恥ずかしいことはありません。
ニコニコ動画やゲームに限らず、気がついたら演歌以外の音楽をずいぶん歌ってきました。
ポケモンカードゲームのCMソング『とりかえっこプリーズ』(1998年2月)にはじまり、『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』のエンディング主題歌『風といっしょに』(1998年9月)。
アニメ『クレヨンしんちゃん』の映画主題歌は、『さよならありがとう』(2000年4月/『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』)、『元気でいてね』(2001年4月/『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』)と、2年続けて担当しました。
おかげさまで『おもいで酒』の世代から、ポケモン世代、そしてボカロ世代まで、世代を超えて幅広く私の歌を聴いてくださっている。
本当にありがたいことです。
アニメ『ポケットモンスター』を観て育った「しょこたん(中川翔子)」なんて、今でも私を見ると、神様のように崇めてくれますからね。彼女にとっては、『風といっしょに』が「神曲」なんだそうで、それを歌っている人だから、神様なんですって(笑)。
プロレスにもコスチュームを作って挑戦
こうしたことは、狙ってやったことじゃありません。
単純に、「面白そう」と思ったことに対して、一生懸命に挑戦してきただけのことです。
いろいろやってきたからこそ言えますが、実はやってみるのって、意外と簡単なことなんです。とりもなおさず一歩踏み出せばいいだけなんですから。
私なんて、プロレスもやってますからね。
千葉・幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議2015」でのことなんですが、さすがに最初のオファーの時は面食らいました。
「何で私がプロレス?」
もちろん、お断りしたんです。
ところが、ニコニコ動画の担当者が「どうしても出てほしいんです」と必死に食い下がってくる。で、詳しく聞いているうちに、「これって面白いかも!」と変わっていったんです。
やるからには本気ですよ。プロレスのコスチュームを作っている方に会って、衣装を特注。気がついたら、リング上で、ボブ・サップと闘っていました。
「やらない」という選択は、単に怠惰、なまけてサボりたいだけかもしれません。新しいことをやるには、準備も必要ですし、面倒なことも多いですから。
でも「やってみる」を選択したら……目の前の風景はどんどん広がっていきますよ。
一、途中でやめたとしても何も恥ずかしいことはない
一、何でもやってみれば目の前の風景がどんどん広がる
小林幸子(こばやしさちこ)
1953年、新潟県生まれ。64年、『ウソツキ鴎』で歌手デビュー。その後、長く低迷期が続いたが、79年、『おもいで酒』が200万枚を超える大ヒットとなり、日本レコード大賞最優秀歌唱賞をはじめ数々の賞を受賞。同年、NHK紅白歌合戦に初出場。以来、34回出場し、その「豪華衣装」が大晦日の風物詩と謳われる。近年は、若者やネットユーザーの間で、「ラスボス」と称されるようになり、ニコニコ動画への「ボカロ曲」の投稿やアニメ『ポケットモンスター』の主題歌を歌うなどして、“神曲”を連発している。
ラスボスの伝言
~小林幸子の「幸」を招く20のルール~