文 /小林幸子

小林幸子の「幸」を招くルール

ファン歴50年以上の方はもとより、若者やネットユーザーからも「ラスボス」と称され、幅広い層に圧倒的な人気を持つ小林幸子さん。
小林さんの「今が楽しい、自分らしい人生」をおくるための秘訣とは?
齢を重ねるたび、元気と勇気、パワーを増し続ける、ラスボス流「言葉の魔法」を初披露!

ラスボスの「仕事の流儀」

知識やテクニックだけじゃない。大切なのは“志”が立派かどうか。次々と未知の世界の扉を開けて新たなことに挑む、その原動力はどこにあるのか。そして、進化を重ね続ける秘訣とは?

ルール04

このメッセージは小林幸子さんの直筆です。

「ネット動画とコラボするなんて、若いですね」とよく言われるのですが、本人はその意味にピンときていません。年齢も同じで、「いくつですか?」と聞かれれば、「67歳です」と答えますが、自分の年齢を意識したことはまったくないんです。

あとになってから、「ああ、私が60歳を過ぎているのにネット進出したから、年齢のことで驚いてるんだ」と気づきました。私は新しいことを始めるのに、年齢が壁になると考えたことがありませんでしたので……。

そもそも私は戦略的にネットの世界に参入したわけではないんです。

時代の変化に必死についていっているということではなく、時代の変化そのものを楽しんでいるといったほうが正確かもしれません。

ニコニコ動画の生放送出演(2012年10月22日放送)をきっかけに、この世界の人たちと“つながり”ができました。

「2012年の黄昏に『ラスボス』降臨! ニコニコ大忘年会2012in ニコファーレ」という大晦日の番組に出てみたりして、それから、いろんな「ボカロ曲」を聴くようになりました。

ボカロというのは、音声合成技術「ボーカロイド」の略です。歌詞と旋律を入力すると、コンピュータで合成された声が歌ってくれるというわけです。「初音ミク」が有名ですよね。

ボカロ曲を実際に聴いてみると、今まで聴いたことがないようなものばかり。カルチャーショックでした。

オクターブの上がり方も「この音からこの音へ行く?」みたいなことが多くて、今まで培われてきた歌い手としての経験ではなかなか入り込めませんでした。

120小節ノーブレス、息継ぎなしの曲もありました。でもね、いい曲がたくさんあるんです。

史上最速で「ミリオン」を達成

だったら、やってやろうじゃないの!

歌手魂に火が付きました。悪い癖です。難しい曲であればあるほど、挑戦したくなってしまう。

そして、『ぼくとわたしとニコニコ動画(盆踊Remix)』(作詞・作曲/ヒャダイン)というニコニコユーザーの大好きな曲を歌って、「ニコニコ動画」に初めて投稿してみました。2013年9月6日のことです。

こんなメッセージも付けました。

「はじめまして^^
小林幸子と申します●(ハート)
自分なりに心を込めて歌わせて頂きました。

初投稿ですのでどうぞお手柔らかにお願い致します●●(ハート2つ)
いろんな方のご協力を得て投稿してみましたので
よかったらお聞きになって頂ければ幸いです。
ニコニコって素敵ね☆」

事務所のスタッフに投稿してもらったんですけど、その時私は、仕事で北海道にいました。

そしたらスタッフから電話がかかってきたんです。

「大変なことになってます!」

家が火事になったんじゃないかと思ったぐらいの剣幕で、「すごい勢いで再生されてます!」って電話の向こうで興奮しているんです。

結果、2日半で100万回再生となり、史上最速ミリオン再生達成動画となっていました。

投稿する前は受け入れられるかどうかすごく不安だったので、本当に嬉しかったですね。

「私はレディー・ガガ?」と変化を実感

ゲームに登場したのも同じ理由です。

私自身はゲームってまったくしないんです。やろうと思ったこともありません。

ところが、『ファンタシースターオンライン2』(セガ)というオンラインゲームの関係者の方が、「ゲームの中で歌ってみませんか?」って。

「ゲームの中で私が歌うの、面白いですか?」

と尋ねたら、

「面白いです!」

と即答したんです。ここまで言い切られたら、やってみないと。

それで歌ったのが『ヨーコソ・アークス』(作詞・作曲/ビートまりお)。有明コロシアムで行われたファンイベント「アークスフェスティバル2016」で生歌を披露したんですが、わざわざ衣装もゲームのキャラにあわせて作っていただいて。 

で、歌ったらものすごい声援!

「私ってレディー・ガガだったっけ?」って勘違いしそうになりました。親子連れで来てくださった方もいて、肩車して一緒に手を振ってくれている。
「時代って今、こうなってるんだ」と、その変化を実感できました。

時代はどんどん変わっていきます。しかも変化のスピードは年々速くなっています。

だったら、その変化に眉をひそめるより、むしろそのこと自体を楽しみたいですよね。

一、「新しいことを始めるのに年齢を意識しても仕方ない

一、新たな世界に飛び込めばその世界の人たちとつながれる

一、難しいことに挑戦するとそれを認めてくれる人がいる

小林幸子(こばやしさちこ)
1953年、新潟県生まれ。64年、『ウソツキ鴎』で歌手デビュー。その後、長く低迷期が続いたが、79年、『おもいで酒』が200万枚を超える大ヒットとなり、日本レコード大賞最優秀歌唱賞をはじめ数々の賞を受賞。同年、NHK紅白歌合戦に初出場。以来、34回出場し、その「豪華衣装」が大晦日の風物詩と謳われる。近年は、若者やネットユーザーの間で、「ラスボス」と称されるようになり、ニコニコ動画への「ボカロ曲」の投稿やアニメ『ポケットモンスター』の主題歌を歌うなどして、“神曲”を連発している。

ラスボスの伝言
~小林幸子の「幸」を招く20のルール~

小林幸子 著
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