文 /小林幸子

小林幸子の「幸」を招くルール

ファン歴50年以上の方はもとより、若者やネットユーザーからも「ラスボス」と称され、幅広い層に圧倒的な人気を持つ小林幸子さん。
小林さんの「今が楽しい、自分らしい人生」をおくるための秘訣とは?
齢を重ねるたび、元気と勇気、パワーを増し続ける、ラスボス流「言葉の魔法」を初披露!

ラスボス式「人の惹きつけ方」

知識やテクニックだけじゃない。大切なのは“志”が立派かどうか。次々と未知の世界の扉を開けて新たなことに挑む、その原動力はどこにあるのか。そして、進化を重ね続ける秘訣とは?

ルール13

このメッセージは小林幸子さんの直筆です。

どうやら私、「いかに面白く生きるか」ってことばかり意識しているようです。きっとこれが、人生の最大のテーマなんでしょうね。私も面白がりたいし、周りの人にも楽しんでもらいたいんです。
 
この精神、母親譲りかもしれません。

新潟で精肉店を営んでいた頃、コロッケやポテトサラダなど、惣菜の担当は母親でした。母親は客あしらいが上手なんです。たとえば、お客さんがポテトサラダを100グラム注文したとします。

そこで母は必ず小声で言うんです。

「はい、おまけしときますから」

そうするとお客さんは、「嬉しい!」となる。自分だけがそうしてもらえたと思うから。

実際は、それほど量がプラスされたわけじゃないと思いますけど、こうやることでお客さんが笑顔になれば、売ってるほうも楽しい、お客さんも嬉しい。どちらもハッピーです。

人を喜ばせることで、皆が幸せになるなら、そっちのほうがいいに決まってます。私はサービス精神が旺盛だとよく言われますが、きっと母の姿から学んだんでしょうね。

紅白の衣装に凝り始めたのも、そうした一面がありました。

「ラスボス」と呼ばれることを受け入れてるのもそうかしら。

誰かがそれで楽しんでくれるなら、何と呼ばれたって構わない。ニックネームが変わったって、私の存在が変わるわけではありませんから。

白いパンツに一枚ずつサイン

東日本大震災の直後、とある避難所を訪ねた時のことです。そこは小学校が避難所になっていて、多くの人が体育館で寝泊まりしていました。

最初は「歌なんて聴いている余裕はないだろうな」と思って、救援物資だけ届けに行ったんです。そしたら「ぜひ歌ってほしい」と言う。「ああ、私は歌うことで皆さんに喜んでもらえてるんだ」と実感しました。

求めに応じて、歌ったり、サインしたりしていると、ボランティアの人がやってきて「お願いがあるんですけど……」と言うんです。

「幸子さん、高齢者と体の不自由な方が、校舎の2階に避難していて、皆、『幸子さんに会いたい』って言うんだけど、そういうわけで降りてくることができないんです。申し訳ないんですが、来てもらうことはできませんか?」

もちろん二つ返事で会いに行き、歌いましたよ、アカペラで。そしたらひとりの方が「サインしてほしい」と言ってきたんですが、何しろ、紙がない。ノートすらありません。

「何か書くところがあればね、ごめんなさいね」

と声をかけていたら、ボランティアの人が「ありました!」と何かを持って走ってきました。白いハンカチのように見えます。

「これに書いてもらえませんか?」

持ってきたのは、全国から送られてきた支援物資の中にあった、新品の白いパンツでした。書きましたよ、一枚一枚。

「長い間歌手をやってきたけど、パンツにサインしたの、初めてだなあ」

あちこちから笑い声が漏れます。

書き終えて顔を上げると、皆、泣いてるんです。

「幸子さん……ありがとう。ずっと泣いてばかりで、笑うことを忘れていました。こんなに笑ったのは、あの日以来、初めてです。笑ったのが嬉しくて、涙が出るんです」

ああ、こうやって喜んでもらうために私はいるんだ。そう実感しました。

家での座る位置を変えるだけでいい

ひとりでいる時も、私は「楽しみ」を探します。

この間も、家の座る位置を変えてみたんです。不思議なことに、誰かと一緒に住んでいると、自分の座る場所が決まってきますよね? それはそれでいいんだけど、いつも同じポジションというのも変化がありません。そこで先日、座る位置を変えてみたんです。

面白かったですよ。いつもの見慣れた部屋のはずが、座る位置が変わっただけで、目に入る景色が違って、妙に新鮮なんです。

ちょっと視点がずれただけなのに、見え方が違う。これって人生も同じだと思います。辛い時期というのは、視野が狭くなっているだけかもしれません。別の角度から見たら、辛さの中にも光明が見つかるはず。

結婚して良かったことは、「視点」が増えたこと。相手は、医療ビジネスを何十年もやっている人。私は芸能界しか知らない。お互い、相手の分野の門外漢です。

だから逆に、話をしていて新鮮です。

「ああ、こんな見方があるんだ」「こんな考え方があるんだ」という発見があります。それまでの私に見えなかったことが、夫の視点を使うことで、また別のものが見えてくる。辛さは半減、楽しさは倍増します。

もとより、いいことと悪いことの繰り返しが人生です。「人間万事塞翁が馬」とは、私が好きな言葉ですが、幸と不幸は背中合わせ、予測が付かないということ。

今日は辛くても、明日はいいことがあるかもしれない。今日の幸せが明日終わるかもしれない。だからこそ、“今”を楽しみたいと思います。

まず自分が楽しむ。そうすれば周囲も楽しくなる。まずは自分ですよね。

一、わずかなサービス精神でもその気持ちに喜んでもらえる

一、ひとりでいる時でも何か「楽しみ」を探してみる

一、人間万事塞翁が馬。幸と不幸は背中合わせ

小林幸子(こばやしさちこ)
1953年、新潟県生まれ。64年、『ウソツキ鴎』で歌手デビュー。その後、長く低迷期が続いたが、79年、『おもいで酒』が200万枚を超える大ヒットとなり、日本レコード大賞最優秀歌唱賞をはじめ数々の賞を受賞。同年、NHK紅白歌合戦に初出場。以来、34回出場し、その「豪華衣装」が大晦日の風物詩と謳われる。近年は、若者やネットユーザーの間で、「ラスボス」と称されるようになり、ニコニコ動画への「ボカロ曲」の投稿やアニメ『ポケットモンスター』の主題歌を歌うなどして、“神曲”を連発している。

ラスボスの伝言
~小林幸子の「幸」を招く20のルール~

小林幸子 著
小学館

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