文 /小林幸子

小林幸子の「幸」を招くルール

ファン歴50年以上の方はもとより、若者やネットユーザーからも「ラスボス」と称され、幅広い層に圧倒的な人気を持つ小林幸子さん。
小林さんの「今が楽しい、自分らしい人生」をおくるための秘訣とは?
齢を重ねるたび、元気と勇気、パワーを増し続ける、ラスボス流「言葉の魔法」を初披露!

ラスボスの「仕事の流儀」

知識やテクニックだけじゃない。大切なのは“志”が立派かどうか。次々と未知の世界の扉を開けて新たなことに挑む、その原動力はどこにあるのか。そして、進化を重ね続ける秘訣とは?

ルール01

このメッセージは小林幸子さんの直筆です。

最近は皆さんから、「ラスボス」なんて呼ばれるようになって、ちょっと戸惑っています。でも、私から「呼んでください」って、お願いしたわけじゃないですよ(笑)。

元々、「ラスボス」という言葉も知りませんでした。

ニコニコ動画の生放送に出演した時に「ラスボスって呼んでいいか」という問いかけがあったので、「いいよ!」と二つ返事でOKしたのがきっかけです。あとで聞いてみたら、ゲームに登場する最後(ラスト)のボスのことだっていうじゃないですか。紅白の衣装が「ラスボスっぽい」ということで、ネット界隈で密かに「ラスボス」と呼ばれていたようなんです。

それが、「ニコ生」出演で決定的になってしまった。最近はコンサートでも、これまでの年配のファンの方々から、「ラスボス〜!」って声がかかります。

ラスボスの呼び名は失礼じゃないかって? 

皆さんが面白がってくれているなら、それはむしろ嬉しいことです。

「思いつき」に賭けてみる

とはいえ、ニコニコ動画からの出演依頼を、当初、躊躇していたのも事実です。それまで歩んできた歌手人生から、最も遠いところにありました。

そもそも私が、インターネットというものをわかっていない。最初の一歩を踏み出せないでいました。

そんな時、夫が口にしたのが、この言葉でした。

「思い込みを捨て、思いつきを拾う」

「あっ!」と胸に手を当てました。

私はもしかしたら、「『小林幸子』とはこう振る舞わなくちゃいけない」と思い込んでいたんじゃないかって。

自分で勝手に“囲い”を作って、その中に自分を閉じ込めていたんじゃないか。「思い込み」という囲いを取っ払ったら、もしかしたら見たこともない新しい世界が広がっているのかもしれない。

この「思いつき」は、私をワクワクさせてくれるものでした。

夫の林明男とは、2011年11月に結婚しました。相手は8歳年下で、当時の私は57歳。私自身、結婚するつもりはありませんでしたが、いつの間にかという感じです。

林は、再生医療に関する事業を手がけています。最初の頃は「再生医療なんて信用できない」と口にする人も多く、ずいぶん苦労したようです。

2017年11月、iPS細胞から尿を排出する機能を持つ腎臓を再生させることに東京慈恵医大の横尾隆教授らのグループが成功したというニュースが流れましたが、林はこの研究に当初から協力していました。

林に言わせると、再生医療は「従来の医療の常識」との闘いなんだそうです。新しいことを生み出すには、これまで考えられてきた「思い込み」を捨てて、「思いつき」に賭けてみるしかない。

そうした試行錯誤の末、何かが生まれるといいます。

「思い込みを捨て、思いつきを拾え」は、林たちのチームの合い言葉のようになっているそうです。

私も、思い込みを捨てて、「ネット動画」という思いつきを拾ってみました。するとどうでしょう……。

目の前に面白い世界が広がっていたんです。

「10%も知っている」と考える

今でもネットの世界のことは詳しくありません。でも、それでいいのかな……。

だって、自分の知らないことがたくさんあるってことを、卑下してもしょうがないですから。

たとえば、世間の人が知らなくちゃ恥ずかしいと考えているような事柄について、私が10%しか知らないとしましょう。それを「10%しか知らない」と恥ずかしがるよりは、「私だって10%も知っている」というように、考えたい。私はスポーツの知識なんてまったくないし、ゴルフだって夫から散々誘われてクラブも一式そろえたけど、結局やらずじまい。

でもね、代わりに歌の知識やテクニックなら、ちょっと自信がある。

そういう生き方でいいと思っているんです。

情報化社会でネットで何でも調べられる時代だけど、「知らなくちゃ恥ずかしい」ということ自体が思い込みなのかもしれません。

何でもかんでも知ろうとするよりは、ひとつのことでいいから極めたい。

じゃあ、極めた人が一流かというと、知識やテクニックだけじゃ足りない。また、仮にCDが何百万枚も売れたからといって、その人が一流だとは限りません。

大事なのは“志”。志が立派なら、それはどんなジャンルであれ、「一流」といっていいのだと思っています。

こんな話を「金スマ」(『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』)でしたら、それを観たという若い女性が後日、声をかけてきました。

「幸子さん、金スマ観ました。『一流も二流もそんなこと関係ないんだ』って言ってくださった幸子さんの言葉に励まされました」

その子は、「自分は二流だ」ってレッテルを貼ってしまっていたそうなんです。「思い込み」で自分をがんじがらめにして、日々、悶々と生きていた。

皆さんにも、少なからずあるのではないでしょうか。自分を囲っている“見えない囲い”が。どんどん、囲い=思い込みを取っ払っちゃいましょうよ!

一、自分で“囲い”を作ってその中に閉じこもらない

一、「10%しか知らない」より「10%も知っている」

一、知識やテクニックじゃない。大事なのは「志」

小林幸子(こばやしさちこ)
1953年、新潟県生まれ。64年、『ウソツキ鴎』で歌手デビュー。その後、長く低迷期が続いたが、79年、『おもいで酒』が200万枚を超える大ヒットとなり、日本レコード大賞最優秀歌唱賞をはじめ数々の賞を受賞。同年、NHK紅白歌合戦に初出場。以来、34回出場し、その「豪華衣装」が大晦日の風物詩と謳われる。近年は、若者やネットユーザーの間で、「ラスボス」と称されるようになり、ニコニコ動画への「ボカロ曲」の投稿やアニメ『ポケットモンスター』の主題歌を歌うなどして、“神曲”を連発している。

ラスボスの伝言
~小林幸子の「幸」を招く20のルール~

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