なかなか治らない慢性腰痛の原因として、股関節の筋肉が固くなってしまっている場合があります。
今回は、腰痛を改善するのに効果のある股関節のストレッチをご紹介します。
骨盤をひっぱり腰を緊張させてしまう腸腰筋
骨盤には腹筋や背筋、お尻の殿筋、太ももの筋肉などたくさんの筋肉が付着しています。
それらの筋肉が、骨盤を挟んで上下左右前後から、お互いに支え合ったりひっぱりあったりしてバランスを取り、骨盤を適切な位置に保っています。
しかし、その一部の筋肉が固くなったり弱くなったりすると、骨盤のバランスが崩れ、別の筋肉に負担をかけてしまいます。
例えば慢性腰痛で多いパターンが、腸腰筋が固くなることで骨盤がひっぱられ、腰が緊張して痛みが起きてしまうケースです。
腸腰筋の緊張と腰痛
腸腰筋とは下の図のような筋肉です。
腸腰筋は、背骨から起こる大腰筋と、骨盤の内側から起こる腸骨筋の2つからなる筋肉で、股関節をとおって大腿骨につながっています。
この筋肉は股関節を曲げる筋肉ですが、デスクワークなどで長時間座っていたりすると、固く緊張してしまいます。
そうすると骨盤を太ももの方向(下方)にひっぱってしまうことになり、骨盤が前傾して腰が反り、腰部の筋肉に負担がかかって痛みが起こりやすくなります。(下図)
腸腰筋がこのような状態になってしまったとしても、ストレッチなどで緊張をゆるめ、腰痛を改善することができます。
腸腰筋のストレッチ
腸腰筋のストレッチにはいくつかやり方がありますが、筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/index.html)では、次のような方法をおすすめしています。
腸腰筋ストレッチ(1)
片膝をついて片足を立てる姿勢を取ります。
そこから骨盤を前に出すようにすると、膝をついた側の大腰筋がストレッチされます。
上の画像の左側の赤点線がスタートの位置で、矢印方向に骨盤を出す動きとなります。
上半身を反らし過ぎると腰に負担がかかりますので、上半身はそのままで骨盤だけ前に出すようにおこなってください。
股関節の前側、そけい部に伸びる感覚を感じたらそこで止め、その姿勢で30秒から1分ほど保ち、ゆっくりと戻します。
これを片側2~3回ずつおこないます。
※痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化する時はやめてください。
腸腰筋ストレッチ(2) コアヌードルを使った大の字ストレッチ
筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/index.html)では、コアヌードルというエクササイズ器具を使ったストレッチもおすすめしています。
コアヌードル
コアヌードルについて詳しくは以下のページをご覧ください。
コアヌードル 狭窄症・すべり症・ヘルニアを改善する運動法(https://www.re-studio.jp/cn17/index.html)
※このエクササイズをおこなう場合は、コアヌードルが必要になります。
※半円型のストレッチポールで代用することもできます。
※タオルケットや毛布などを10~15cm程度に丸めて代用することも可能です。
自宅で出来る!腰痛トレーニングDVDより(https://www.re-studio.jp/dvd.html)
まずこのストレッチを始める前に、普通に床に仰向けになって、背中の当たり具合や浮き具合、背中の筋肉の硬さなどをチェックして覚えておいてください。
ストレッチを終えたあとに同様にチェックしてみて、変化をみてみましょう。
コアヌードルなどの上に仰向けになり、両手両足を広げて大の字になります。
そこから軽くおへその下(下腹部)を引っ込めるように締め、恥骨をみぞおちの方向に引き上げるようにします。
そうすると自然と腰の反りが減り、ポールに腰や背骨全体が軽く押し付けられるような状態になります。
お腹は少し力を入れますが、その他の全身は力を抜いて楽に呼吸を繰り返します。
この姿勢を大の字ストレッチといいます。
これだけでも腸腰筋をストレッチする効果がありますので、数分このストレッチをおこなうこともおすすめです。
この姿勢から、骨盤を左右にゆっくりと揺らしていきます。
この時に背中や腰の力は使わず、腹筋で骨盤を動かします。
あまり大きく揺らす必要はありません。骨盤が水平状態から20~30度左右に揺れる程度で良いでしょう。
背中や腰を反らさないようにしながら、骨盤をゆっくり左右に揺らします。
腹筋でベルトのラインをポールに押し付けるようにできると、腰や背中が浮きません。
背中や腰が大きく反ってしまう場合は、背中や腰の力(筋肉)を使ってしまっています。背中や腰を使ってしまうと逆効果になりますので注意してください。
これをゆっくりと左右に20~30回、または数分続けてみましょう。
終わったあとに、最初と同じようにポールから降りて床に仰向けになり、背中の状態を比べてみてください。
背中や腰の浮き方が減り、柔らかくぺったりと床につくような感じになればOKです。
※このストレッチをおこなうことで痛みが出たり、または痛みのためにこのストレッチ自体ができないようでしたらやめてください。
以下の記事でも様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。
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お読みいただけると幸いです。
文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html