最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもありますよね。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第35回目は、「灼然」をご紹介します。ある状態を指す大和言葉です。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
■「灼然」はなんと読む?
「灼然」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「しゃくぜん」と読むこともできますが……
正解は……
「いやちこ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「神仏の利益や霊験などのあらたかなさま」と説明されています。「灼然(いやちこ)」は、日本固有の言葉である大和言葉に当たります。
「灼然(しゃくねん、しゃくぜん)」とは「明るく光り輝くこと、すべてが明らかになること」を指す仏教用語。「灼然(いやちこ)」は、同じ意味を持った大和言葉ということになります。
■「灼然」の漢字の由来とは?
「灼然」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「灼」は「明るく照らす」ことを、「然」は「そのようである」ことを表します。ゆえに「灼然」は「神仏の利益、霊験などが著しいさま」を意味する言葉です。
ちなみに、「霊験があらたかになる」といった使い方をする「あらたか」という言葉は「灼(あら)たか」と書きます。このことからも「灼然」に「神仏の利益が際立っている」という意味が込められていることが分かります。
■「灼然」の読み方の由来とは?
なぜ「灼然」を「いやちこ」と読むのでしょうか? その由来には、「弥近炎(いやちかほ)」という言葉が関係していると考えられています。「弥近炎」は「炎が目の前に現れたような状態」を指し、転じて「視野が明瞭になり、何事かが驚くほど明らかであること」を表現します。この「いやちかほ」が変化し、「いやちこ」という大和言葉が生まれたと言われています。
***
いかがでしたか? 今回の「灼然」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 大和言葉の中には、時代の流れとともに使わなくなった言葉も多くあります。しかし大和言葉から見て取れる「和の表現」は、今も我々に日本語の美しさを実感させてくれるものです。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
HP:http://kyotomedialine.com
Facebook:https://www.facebook.com/kyotomedialine/